site.title

BRICS=週末にリオ市で首脳会議=ブラジルが議長国として主導

2025年7月10日

準備が進むリオ市内(Fábio Motta/Prefeitura do Rio)
準備が進むリオ市内(Fábio Motta/Prefeitura do Rio)

 ルーラ大統領は3日、メルコスル首脳会議とクリスチーナ元大統領訪問を終えた後、ブラジリアではなく、リオ市に向かった。これは、6~7日に開催されるBRICS首脳会議の準備などの過密日程をこなすためだ。
 今年の議長国、ブラジルは「より包摂的で持続可能なガバナンスのためのグローバル・サウス協力の強化」をモットーに掲げ、具体的な成果を重視しつつ、諸分野での諸国間の協力促進を目指している。(1)
 今回の会議ではロシアのプーチン大統領がリモート参加、中国の習近平国家主席とエジプトのアブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領が欠席(中国は李強首相が代理出席)など、首脳全員が顔をあわすことができない。(2)
 だが、七つのテーマで作業グループを作って準備を進め、4~5日には大衆運動や市民社会団体が参加する大衆評議会(Conselho Popular)も開催するなど、加盟国やパートナー諸国が様々な形で討議に参加し、諸方面での合意を形成できるよう、配慮。11月10~21日にパラー州ベレンで開催されるCOP30(気候変動枠組条約第30回締約国会議)に向け、気候変動や環境問題に関する討議を前倒しして行うことも期待されている。(3)(4)
 なお、BRICS首脳会議での警備体制はG20サミット並みで、軍警の特殊作戦部隊などが様々な準備や訓練を行っている。種々の集会や会議が開催される2~9日は市警と軍警が約1万7千人増員される予定だ。(5)(6)(7)

加盟諸国の旗(©Brics/Divulgação)
加盟諸国の旗(©Brics/Divulgação)

 BRICSは2009年に、ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国でスタートし、BRICsと表記されていたが、2011年に南アフリカが加わり、BRICSとなった。
 その後、グループ拡大への動きが加速化し、2023年8月のヨハネスブルクでの拡大宣言以降、サウジアラビアにエジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア、インドネシア、イランの6カ国が加盟。今回の首脳会議には、加盟11カ国の他、パートナーと呼ばれる10カ国も参加する。(8)(9)
 11カ国となった現在は、世界人口の約半分を抱え、世界の国内総生産(GDP)の約40%を占める大所帯となり、燃料や鉄鉱石、穀物などを中心とする貿易額は全世界の貿易額の26%を占めている。(10)
 10年前に創設された新開発銀行(別名BRICS銀行)も、ブロック内外の国々が申請したプロジェクトを既に120件承認しており、総額390億米ドル(2100億レ相当)を融資し、現地通貨での貿易や融資も支援。(11)
 トランプ米大統領がドル決済にこだわる中、このような姿勢がドル離れ、アメリカ離れと見なされるという問題も生じている。
 また、BRICSはイデオロギーなどで結びついたグループや国際機関ではなく、自らをグローバル・サウスを構成する国々の政治的、外交的連携のためのフォーラムと位置付け、国際協力と地球規模の問題への多国間対応を模索しており、国連や国際通貨基金(IMF)、世界銀行、世界貿易機関(WTO)といった機関における加盟国の影響力拡大と公平性の確保と共に、新開発銀行のような加盟国に焦点を当てた機関の設立を進めてきたため、拡大によって地政学的ポテンシャルを増す一方で、合意形成が遠のくという課題も抱えており、今回の首脳会議でも内部統合が課題とされている。(12)


サンパウロ州=EV充電に新安全基準=防災設備の設置義務化前の記事 サンパウロ州=EV充電に新安全基準=防災設備の設置義務化メルコスル首脳会議=ミレイ「官僚主義」と批判=ルーラ反論「高い目的意識」=アジア諸国と関係強化提唱次の記事メルコスル首脳会議=ミレイ「官僚主義」と批判=ルーラ反論「高い目的意識」=アジア諸国と関係強化提唱
Loading...