南米大陸横断鉄道=中国と共同調査を開始=バイア州からペルーまで=事実上の一帯一路か

ブラジルと中国は7日、大西洋と太平洋を結ぶ南米大陸横断(双洋)鉄道建設のための共同事前調査を始めることに関する協定に調印した。同日付アジェンシア・ブラジル(1)などが報じている。本紙23年5月16日付(2)、本年5月13日付(3)でも詳報。
南米大陸横断鉄道鉄道は、予算企画省が主導する南米統合ルート・プロジェクトの一環だ。同プロジェクトは2023年に始動。経済活性化計画(PAC)に基づく事業を最優先し、近隣諸国との国境地域における道路や河川、鉄道輸送を連携させることを目指している。
協定調印式は、リオ市でのBRICS首脳会議が終わろうとしていた時にビデオカンファレンスの形で行われた。会場はブラジリアの運輸省で、ブラジル政府の関係者と中国大使館の関係者、両国の調査機関の関係者が出席した。BRICSはこの前日の6日、開発途上国間の交通インフラ拡大に向けた対話を促進することを約束していた。
同鉄道敷設のための調査・研究は、運輸省傘下の国営公社「Infra」と中国の鉄道経済計画研究所が担当する。(4)
大陸横断鉄道は、ブラジルでの敷設作業が始まっている東西統合鉄道(Fiol)と中西部統合鉄道(Fico)、南北鉄道(FNS)を、2024年に中国の資金援助を受けて開港し、ペルーの首都リマから約70キロに位置するチャンカイ港と統合することを目的としている。ルート的にはバイア州から出発して、ゴイアス州、マット・グロッソ州、ロンドニア州、アクレー州を通ってペルーへと至ることになる。
チャンカイ港との統合は、鉄道と太平洋側にある同港を利用することで、中国をはじめとするアジア諸国への品物の輸送にかかる時間と費用を大幅に節約するためだ。運輸省は、「現在進行中の調査が将来の投資と鉄道事業のコンセッションを前進させ、物流コストの削減と国内貨物輸送の効率化に貢献することが期待される」との見解を示している。(5)
フォーリャ紙によると、この鉄道が開通すれば、大西洋側のブラジルの港湾とアジアの市場との間の貨物輸送時間は最大で10日間短縮できると見られている。(6)
チャンカイ港は中国政府が「新時代のシルクロード」と銘打っている「一帯一路」構想の一部として建設された。ラテンアメリカ諸国の首脳は最近、中国の習近平国家主席と会談し、中国の投資の誘致に務めていた。
ルーラ政権は現在も、「一帯一路」構想には正式に参加していない。だがここ数カ月間、両国の技術チームが頻繁に二国間会合を行っており、5月には中国の当局者11人がFiolやFicoの視察を行った。代表団は、間もなく新コンテナターミナルの入札が行われるサントス港も訪問した。
なお、今回の共同事前調査は鉄道だけでなく、海洋や陸路を結んだ複合的な交通の可能性を含んだものとなっている。
運輸省全国鉄道運輸局のレオナルド・リベイロ局長は「これはブラジルの運輸部門、とりわけ鉄道部門にとって戦略的な一歩だ。これは大陸間の距離を縮め、長期的な関係を強化するための技術的、外交的な取り組みの一歩だ」とし、同プロジェクトに強い期待を寄せている。