site.title

SNS攻防=連邦政府と議会が丁々発止=政権が虚偽キャンペーン?

2025年7月9日

9日の下院通信委員会に召喚されているシドニオ社会通信局長官(Marcelo Camargo/Agência Brasil)
9日の下院通信委員会に召喚されているシドニオ社会通信局長官(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 ルーラ大統領(労働者党・PT)の支持率低下や連邦議会による金融取引税(IOF)増税のための大統領令拒否など、PT政権にとって厳しい状況が続く中、今週は連邦政府と野党が上下両院の委員会で激しい攻防を繰り広げる一週間となると8日付エスタード紙など(1)(2)が報じた。
 連邦政府と野党との攻防は、PTが展開中の国民の99%は「税の公平性」を支持しており、反対は僅か1%だから、最富裕層は孤立していると主張する「99%対1%」キャンペーンを巡るもので、上下両院の委員会では閣僚6人とガブリエル・ガリポロ中銀総裁、アンドレイ・ロドリゲス連邦警察長官が種々の説明を行う予定だ。
 人工知能(AI)で作った動画を多用したキャンペーンでは、頭文字をとって「BBB」と称される億万長者や銀行、賭博師といった特権階級の少数派は利益だけ独り占めし、税金の方は分担したくないと主張している。
 与党や連邦政府支持者達は、このキャンペーンは支持基盤を再び強化し、IOF増税に関する大統領令が覆されても、ルーラ大統領が率いるグループが立法議題を推進する力を維持していることを示したと考えている。
 他方、ボルソナロ前大統領支持者らからなる野党は同キャンペーンへの行政機関の関与の有無を知るため、情報提供を要請。フレデリコ・デ・シケイラ・フィーリョ通信相やシドニオ・パルメイラ大統領府社会通信局(Secom)長官を召喚し、キャンペーンについての説明を求めている。(3)
 自由党(PL)のリーダーのズッコ下議は、「虚報被害者を自称していた左派がブラジル最大の嘘と憎悪の発信源となっている。彼らは実業家を攻撃し、生産者を悪者に仕立て、人々を敵対させている。彼らは民主主義の共存の柱を壊し、ブラジルをイデオロギー戦の戦場にしようとしている」「我々は断固として戦い、説明責任を問い、公共通信機関を使った犯罪行為の即時停止を要請する」と述べた。
 最初の対決は9日で、シドニオ社会通信局長官が下院通信委員会に赴き、虚報対策ネットワークの一つへのSecomの関与について説明する予定だ。
 野党側は、PTのチャンネルやプロフィールが「党が到達すべきネットワークの議題を定める」ために用いるべき内容やアプローチを定めるための「大胆さのオフィス(gabinete da ousadia)」にSecomのメンバーが関与しているという情報についても説明を求める予定だ。
 4日発表のクエスチの世論調査(4)(5)によると、IOFを巡る衝突では61%が議会を批判したが、連邦政府を批判したのは11%で、28%は中立だった。SNS上での政治論争の多くは、激しい二極化と政府や大統領への攻撃が目立っていたが、同調査では大統領への言及は15%のみ。しかもその45%は肯定的なもので、否定的なものは31%だった。
 これに対し、ウゴ・モッタ下院議長(共和者)はSNS上の言及の8%で標的にされた。クエスチは、SNS上での批判は特権や社会的距離に関する言説を動員し、同氏を「安楽な議会」の象徴として描くことで勢いを得たとしている。
 SNSでの議会反対運動は、議会がIOFに関する大統領令を覆した6月25日以降、勢いを増しており、6月30日~7月3日はSNS上での議会ボイコット運動が激化。発言の18%は「人民の敵」、13%は「ただ乗りの議会」という表現を含み、議会への不満や下院議長への批判がピークを迎えたという。
 クエスチは、連邦政府が展開している「我々対彼ら」を強調するキャンペーンはSNS上での政府の勝利を象徴しており、大統領や現政権への支持率低下が目立った上半期とは異なる傾向を示していると強調している。


中国車参入で輸入販売急伸=伸び率は国産車両の6倍に前の記事 中国車参入で輸入販売急伸=伸び率は国産車両の6倍に南米大陸横断鉄道=中国と共同調査を開始=バイア州からペルーまで=事実上の一帯一路か次の記事南米大陸横断鉄道=中国と共同調査を開始=バイア州からペルーまで=事実上の一帯一路か
Loading...