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検察庁=ボルソナロらに有罪求刑=トランプ圧力を跳ね退け=ルーラは報復課税法署名

2025年7月16日

パウロ・ゴネ長官(Lila Marques/Agencia Brasil)
パウロ・ゴネ長官(Lila Marques/Agencia Brasil)

 連邦検察庁(PGR)は14日夜、クーデター計画疑惑の裁判で「第一の核心」と呼ばれる、ボルソナロ前大統領をはじめとした8人の被告に対して有罪判決を求めた。この判断は、米国のトランプ大統領がブラジル製品に対して50%の関税を課すとの威嚇を行った中での判断だった。また、ルーラ大統領は米国製品への50%課税を可能とする報復課税法案に署名を行うなどの対応策を進めている。

 検察庁が14日に提出した書類は、パウロ・ゴネ長官が最高裁のクーデター計画裁判の報告官アレッシャンドレ・デ・モラエス判事に対して行った最終弁論での報告と同じ内容で、結審前の求刑にあたるものだ。

 ゴネ長官はボルソナロ元大統領ら8人の被告に関し、「元大統領による鼓舞、調整、最終的な決断の下で被告らが一致協力し、組織犯罪となった」との判断を行い、全員を有罪とするよう求めた。

 検察庁はこの文書を締め切り直前の23時59分に提出した。「第一の核心」の公判は最終段階に入っており、結審は9月上旬となる見込みだ。

 ボルソナロ被告に課された罪状は「武装組織犯罪」「民主的法支配の暴力的廃棄」「クーデター」「公共財産への威嚇」「指定文化遺産に対する損壊」で、5件全てで有罪となれば、実刑は43年間に及ぶと見られている。

 ゴネ長官は同じ文書で、ボルソナロ政権時代の閣僚を含む8人の被告に関し、「被告全員が全ての関連事項に積極的に関与したわけではない」としながらも、「それぞれがクーデターの過程の各段階で責任があり、被告全員が一つの目的に向かって絡み合った結果、一連の犯罪となった」と定義している。

 また、ゴネ長官は起訴内容は被告の1人でかつ司法取引を行った元前大統領側近のマウロ・シジ被告の証言が中心となっているが、その証言で曖昧だと指摘されている部分に関しては判断の障害にはならないとの見解を示している。しかし、矛盾点がいくつかあり、情報の一部を隠していたと判断されたことから、司法取引における減刑を、本来の3分の2ではなく、3分の1とするよう、要望している。(1)

 この文書は、9日にトランプ大統領がブラジルからの輸入品全てに50%の関税をかけると宣言した5日後に提出された。トランプ氏は課税を取り下げる条件として、ボルソナロ氏の裁判の却下をあげていた。

 また、ルーラ大統領は同じ14日に、いわゆる相互主義法を規定する政令に署名した。この政令は今年4月に上院と下院が承認したもので、対象国がブラジルに関して高い税率をかけてきた場合は、それと同率の関税をその国にかけることを法的に保障したものだ。この法令が制定される前は、この種の措置に関しては、世界貿易機構(WTO)に掛け合う必要があった。(2)

 法令は15日付官報に掲載され、今月中に関税問題が解決されなかった場合、ブラジルは8月1日より米国製品に対して50%の関税を課すことになる。

 他方、トランプ大統領の措置に背後で影響を与えていたと見られているボルソナロ前大統領三男エドゥアルド氏は14日、休職中の下議任期を断念し、米国滞在を続ける意向を示した。エドゥアルド氏は父の裁判の撤回を求め、米国政府によるモラエス判事への制裁を求める動きを継続すると予想されている。(3)


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