サンパウロ市=軍警が無抵抗の容疑者殺害=制服のカメラ映像決め手に

サンパウロ市パライゾーポリスで行われた軍警の捜査で、捜査にあたった軍警が無抵抗の容疑者に銃弾を浴びせ、死亡させた上、制服に装着していたカメラの映像を隠蔽しようとしていた疑惑が浮上している。14日付G1サイト(1)(2)が報じている。
事件は10日夜、サンパウロ市南部パライゾーポリスのファヴェーラで起こった。容疑者4人を追っていた軍警4人は、容疑者らが逃げ込んだ民家に踏み込み、寝室にいたイーゴル・オリヴェイラ・デ・モラエス・サントス容疑者(24歳)を射殺。他の3人は逮捕され、火器3丁と銃弾、麻薬、現金、携帯電話が押収された。
イゴール容疑者は寝室に踏み込む前に軍警がかけた声に従い、両手を頭の後ろにつけて壁の前に立ったが、軍警の1人が同容疑者に銃弾を2発放った。イーゴル容疑者は床に倒れたが、軍警が立ち上がるよう命じたため、立ち上がったところ、同じ軍警が再度発砲。別の軍警1人も発砲した。
この際、軍警の1人が「COP」という言葉を連呼した。COPというのは警察官の制服に装着されているカメラのことだ。このカメラの映像記録は警察による行きすぎた暴力を抑制する役割を担っているが、寝室に踏み込んだ時はスイッチが入っておらず、軍警たちは銃撃後にカメラを作動させた。
だが、このカメラには90秒前の出来事をフィードバックして記録する機能があるため、この時の模様は録画されており、内容を精査した結果、発砲した軍警2人が逮捕され、映像と合致しない証言を行った軍警2人が書類送検された。
軍警を管轄するエメルソン・マセラ大佐は、「相手が無抵抗な状態での発砲は明らかに違法行為だ。容認することはできない」との言葉で、逮捕に至った理由を明らかにした。
この時の捜査ではイーゴル容疑者以外の容疑者も1人死亡しており、事件直後には近隣住民による抗議運動が発生。道路が封鎖される事態も起きた。