玉城ちはる=「私もブラジルで生まれていたかも」=突然のサプライズ、頬に涙=16日にサンパウロ市で初公演
卒業ソングの定番「Best Friend」や「未来へ」などの代表曲を持つKiroroのリードボーカル、玉城ちはるさんが、自身初となる海外単独公演を行うために14日に来伯し、翌15日午後、ニッケイパラセホテルで記者会見を行った。サプライズまで用意され、彼女は涙を流しながら子供達と抱き合うシーンまであった。玉城さんは1996年に二人組Kiroroとしてデビューし、当地沖縄系コミュニティでも絶大な人気を誇る。
「ほ〜ら、足元を見てごらん これがあなたの歩む道――」、1時間ほどで記者会見が終わり、ホテル中二階のイベントスペースに移動すると、突然子供たちの合唱による「未来へ」が聞こえてきた。驚いた玉城さんが子供達に近寄ると、サンパウロ市東部にある沖縄系コレジオEXATUS校の生徒45人だった。
歌詞も見ずに子供たちはフルコーラスを見事に合唱。それに聞き入っていた玉城さんは頬に流れる涙をなん度も拭った。引率の日本語教師、松原真理先生によれば「この歌は子供たちが大好きな曲。母の日やビラカロン沖縄祭りでも歌いました」という。飛行機で25時間かかって到着した地球の反対側で、自分の曲が子供達に愛唱されている様子に感極まった様子。
高良アウグスト校長は「『未来へ』と『みかんの花咲く丘』は我が校の校歌。特に『未来へ』の歌詞にある母親への愛情は、家族愛を大切にする我が校の方針そのもの」と説明し、玉城さんに感謝プレートを贈呈した。子供たちからも記念品が贈呈され、玉城さんは涙を流しながら子供を抱きしめた。
記者会見には沖縄系コミュニティのメディアや当地インフルエンサーら20人が集まった。興行担当のZAI Live Eventos e Prisma Popの栗田クラウジオ代表が「パンデミック前から夢見てきたコンサートがようやく実現できる。美しいショーを皆さんにお見せしたい」と玉城さんとバンドメンバーを紹介。
玉城さんは「初めてのブラジルで、初ソロコンサート。とてもドキドキ、ワクワクしている」と自己紹介し、ウチナープレスの知念バネッサ記者から「昨晩、読谷村出身者らが集まって歓迎会をしたと思いますが、どう感じましたか」と聞かれ、「同じ読谷村の方にお会いして感動しました。私の父は小さい頃にブラジルに移住する話があったと聞いています。移住後に大変な生活に直面しながら発展してきた皆さんに誇りに思います。これからも繋がって行きたい。また会いに行きたいです。とても幸せな時間でした」と興奮した面持ちで語った。
本紙記者が、父親が移住しそうになった件を重ねて質問すると、72年前に曽祖父が家族を連れてブラジル移住する話があり、もしそれが実現していたら3歳だった父が移民になっていたという。記者から「もし移住が実現していたら、玉城さんはブラジルで生まれていたかもしれませんね」と問われると、「本当にそうなんです。そう思うととても感慨深いです」としみじみ述べた。
公演は16日(土)サンパウロ市のクラブ・シルクロ・ミリタール(Clube Círculo Militar de São Paulo)で18時半開場、20時開演。新作アルバムの楽曲に加え、「長い間」「未来へ」「Best Friend」などの代表曲や沖縄の歌も歌う予定。チケット情報購入はサイト(www.sympla.com.br/evento/show-da-chiharu-tamashiro-kiroro-em-sao-paulo/3002100)から。