緊急支援策で関税ショック緩和=GDP打撃と雇用喪失の縮小へ

財務省経済政策局(SPE)は11日、米国による最大50%の関税措置が国内経済に及ぼす影響について、政府による緊急支援策の実施により、大幅に緩和されると発表した。25年8月〜26年12月の国内総生産(GDP)への打撃は、当初想定されていた0・2%ポイント(PP)から0・1PPに半減し、雇用喪失も13〜14万人規模から約6万5千人にとどまる見通しとの分析結果が示されたと同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)が報じた。
SPEが同日公表したマクロ財政報告では、関税の影響が集中する22の経済セクターを対象に、輸出減少とそれに伴う投資の抑制が、経済活動全体へと波及する構造が精緻に分析されている。
雇用の観点では、最大の打撃を受けるとされる製造業で約7万1500人、次いでサービス業で約5万1800人、農畜産業で約1万4700人の雇用が失われると推計されているが、これらの数字は、政府による緊急支援策が講じられたことで、半減する見通しとなっている。
関税の直接的な物価への影響は限定的で、インフレ率は0・1PP程度の押し上げにとどまると見られている。SPEは25年のインフレ見通しを、従来の4・9%から4・8%に引き下げた。これは、外需の減退により国内市場に流通する製品が相対的に増加するためとされている。
米国による関税措置では、25年4月に10%が課され、8月1日からはさらに40%が上乗せされ、計50%の追加関税が適用された。対象は非金属鉱物、金属製品、機械・電子機器、家具、農畜産品など広範にわたり、24年時点で米国向け輸出の約4割に相当する164億ドル分が対象となった。多くの製品は北米市場に特化して輸出されていることから、産業別の影響が極めて大きいとされている。
こうした影響を緩和するため、政府は「ブラジル主権計画」を中核とした一連の対策を打ち出している。同計画には、輸出保証基金を通じた約30億レアルの補助金付き融資の提供、納税の繰り延べ、政府による優先的購入などが含まれており、雇用維持を条件とした信用供与が柱となっている。とりわけ、中小企業に対しては、運転資金や設備投資を支える資金が供給され、新規市場の開拓や輸出多角化も促進されている。
一方、ルイス・マリーニョ労働相は、「関税の影響は軽視できないものの、それ以上に国内の高金利が景気回復の足かせとなっている」と述べて、実質15%の政策金利の早期引き下げを訴え、余裕を伺わせた。(4)同相はまた、「最悪のシナリオでは、関税により最大32万人の雇用が失われる可能性もあったが、政府の対応により、その事態は回避されつつある」と述べた。政府の融資を受けた企業には雇用維持が義務付けられている。