競歩カイオ結婚指輪落とす=日本で奇跡的に見つかる

今月、東京で開催された世界陸上選手権で、競歩のカイオ・ボンフィン選手が金と銀の二つのメダルを獲得し、ブラジル人選手としての世界選手権最多となる四つのメダル獲得記録を更新する快挙を成し遂げた。その栄光の陰で、金を獲得した競歩20キロ競技中、大切な結婚指輪を紛失するという予期せぬ事態が発生。指輪は意外な経路を経て警察署に届けられ、帰国直前に無事本人の手元に戻ったと22日付グローボ・エスポルテなど(1)(2)が報じた。
地元警察の発表によると、指輪を発見したのは匿名の外国人観光客だった。その人物は、テクノロジー展示会のために東京を訪れていたが、滞在先の大阪へ戻る直前に指輪を拾った。届け出る時間がなかったためそのまま所持して大阪に到着後、最寄りの駅構内警察署に指輪を届け出たという。
警察は直ちに大会組織委員会に連絡を取り、指輪の持ち主であるカイオへの返還が奇跡的に実現。彼は指輪との再会を非常に喜んだ。
指輪の持つ特別な意味について、カイオの妻ジュリアナ氏は「私たちが結婚を決めた際、彼の両親から古い結婚指輪を贈られたの。彼らは10年ごとに指輪を新調する伝統があって、私たちが結婚した年にちょうど30周年を迎えたため、3組の金の指輪をプレゼントしてくれた。その6個の指輪を溶かして新たに作り直したのが、この指輪。だから両親の30年分の歴史が刻まれているわ。おそらくそのこともあって、カイオが指輪を紛失した時、とても落ち込んでいたんだと思うの」と話した。
ジュリアナ氏は「結婚指輪のほかに、私たちの子どもたちの名前が刻まれた指輪も持っているの。私がプレゼントしたもので、彼は競技前に必ずその二つの指輪にキスをして、レース中に苦しい場面がくると何度もキスをするの。そしてゴールの時にもまたキスするのよ。今回、その子どもたちの指輪を家に忘れてしまって、『愛しい君、なんとかして指輪を日本に届けてくれ』ってお願いされた。ちょうど日本に行く友人がいたから、その人が届けてくれたの。カイオはあの指輪をつけて歩くことに強くこだわっているのよ」と、彼には指輪は〝お守り〟的存在であることを明かした。
カイオは競技中に指輪を落としたことに気づき、その後同じ地点に戻ってくるたびに、周囲に指輪の紛失を伝えようと試みていたという。
金メダルを獲得したレース後の会見で、カイオは冗談めかして、「指輪を無くしちゃった。妻に許してもらうにはもう一つ金メダルを取るしかないね」と語っていた。
ボンフィン夫妻は2016年11月に結婚。同じく競歩選手で世界チャンピオンに輝いた経歴を持つ母ジアネッティ氏と、彼女のコーチを務めた父ジョアン氏の30年の歴史が刻まれた指輪は、家族の絆の象徴でもある。