「奇跡起こす」と約1億円詐取=偽装宗教インフエンサー摘発

リオ州検察局と市警は24日、宗教を装った詐欺行為を摘発する「冒涜作戦(Operação Blasfêmia)」を実施し、ニテロイ市とサンゴンサロ市で3件の家宅捜索・差押令状を執行した。詐欺グループは「預言者エンリケ・サンチーニ」を名乗る男を中心に、テレマーケティング形式で信者に接触し、祈祷や奇跡の名目で1回あたり20~1500レ(約560〜4万2千円)を請求。過去2年間で総額330万レ(約9240万円)以上を詐取していたと24日付CNNブラジルなど(1)(2)が報じた。
警察の捜査によると、詐欺グループはオンライン広告を通じて数十人のオペレーターを雇用し、録音音声を使って宗教指導者を装わせ、被害者をだまして銀行振込や即時決済システム(Pix)による金銭を受け取っていた。
今年2月に開始された捜査では、42人のオペレーターが被害者への電話対応を行う現場が確認され、携帯電話52台、ノートパソコン6台、プリペイドSIMカード149枚が押収された。押収された機器の分析から、犯行は組織的かつ計画的に行われていたことが明らかになり、全国で数千人規模の被害者が存在することが判明した。
リオ州検察局は、首謀者ルイス・エンリケ・ドス・サントス・フェレイラ(通称「預言者エンリケ・サンチーニ」)を含む23人を起訴。フェレイラ容疑者はSNSの複数のアカウント上に約5800万人のフォロワーを有し、強い影響力を持っていた。
同容疑者は、リオ市南西部の高級住宅地バラ・ダ・チジュカの自宅で発見され、ニテロイ警察署に移送のうえ事情聴取を受け、電子足輪の装着措置が取られた。自宅からは数万レの現金のほか、ユーロ、エジプト・ポンド、米ドルなどの外国通貨も押収された。
犯行グループは、主にPix経由での送金を信者に要求し、資金の流れを追跡しにくくするため口座は第三者名義で管理していた。雇用されたオペレーターは教会や宗教組織とは一切関係なく、あくまで犯罪に加担する使い捨ての駒に過ぎなかった。彼らは集金額に応じたコミッションを受け取り、週単位で課せられるノルマを達成できない者は解雇されていた。
内部からの告発により捜査が開始され、告発者は「ここは霊的な場などではなく、オペレーター同士が誰がより多く金を騙し取れるかを競う悪質な犯罪組織だ」と証言した。
起訴状では、未成年者7人が詐欺スキームに動員されていた事実も明記されている。捜査当局は資産差押えや銀行口座凍結といった法的措置を講じ、首謀者の監視強化を図っている。容疑者らは詐欺、偽装行為、犯罪組織の構成、偽名使用、経済犯罪、未成年者に対する汚職、マネーロンダリングなど多岐にわたる罪状で起訴された。捜査はなお継続中であり、新たな被害者および組織関係者の特定を急いでいる。
弁護団はCNNブラジルに対し、現在起訴状を精査中であるとし、適切な法的対応を進めていると述べるとともに、訴訟においては法の下で保障された弁明および反論の権利に基づいて釈明するとコメントした。