別の患者に肝臓移植ミス=公立病院でまさかの確認怠り

リオグランデ・ド・ノルテ州ナタル市の病院で、腎臓移植を待つ2人の患者のうち、本来移植されるべき患者とは別の患者に臓器が移植される医療ミスが発生した。移植された臓器は血液型が適合せず、患者は拒絶反応を起こして集中治療室(ICU)に搬送される事態になった。病院側は移植前にフルネームや血液型の確認を十分に行わなかったと認めていると24日付G1など(1)(2)(3)が報じた。
医療事故は、リオグランデ・ド・ノルテ州連邦大学(UFRN)附属のオノフレ・ロペス大学病院で発生した。同院は、公的機関であるブラジル病院サービス会社(EBSERH)によって運営されている。病院側は、誤った患者に対して腎臓移植を実施した事実を認めており、内部調査手続きを開始したと発表した。
移植業務を管轄するリオグランデ・ド・ノルテ州移植センターのコーディネーター、ロジェリア・メデイロス氏は取材に対し、病院に対しては正しい患者名を伝達していたと明言。同氏によれば、移植センター自体は患者のリスト登録や手術の呼び出しは行っておらず、役割はあくまで待機リストの管理と、臓器提供の際に最も適合度の高い患者を病院側に通知することに限定されているという。
同氏は「臓器が提供される際、我々はリストに基づいて適合度の高い患者を評価し、その情報を病院に伝えます。患者への連絡や手術手続きの実行は、すべて病院の責任です」と述べた。
医療ミスの発端は「患者の呼び出し方」にあったという。待機リスト上にいた2人の患者はいずれも同じファーストネームを有していたが、姓は異なっていたにもかかわらず、病院側はフルネームの確認を怠たり、最終的に誤った患者に連絡を行ったとされる。
病院からの呼び出しを受けて来院した37歳の男性患者は、すでに同院に患者登録されていたことから、受付では本人確認が行われないまま、病院の情報システムに従って手術準備が進められた。この結果、診療記録や検査結果、手術に関するすべての文書およびプロトコルが、本来のレシピエント(移植の受け手)として機械的に処理されたという。
誤って腎臓移植を受けたこの患者は、血液型が一致していなかったため、術後に強い拒絶反応を起こし、ICUに搬送された。移植された腎臓は摘出され、再移植も不可能な状態となって廃棄された。患者はその後も数日間にわたりICUで治療を受け、現在も一般病棟で経過観察が続けられている。
一方で、当該臓器との適合が確認されていた本来の患者は、今回の移植機会を逸する結果となった。同患者はいまも公的医療制度(SUS)の移植待機リストに留まっており、現時点では新たな移植の見通しは立っていないという。
同院は、患者の病状を引き続き監視するとともに、最大60日以内を目処に調査を完了させる方針を明らかにしている。また、精神的影響に対する配慮として、患者には心理的支援も提供されている。
同院は声明で、「当院はリオグランデ・ド・ノルテ州およびブラジル内において腎臓および角膜移植の分野で高い評価を受けており、これまでに854件の移植手術を実施してきた。高度な医療に対応可能な専門チームを擁している」と説明している。
保健省によると、腎臓は2024年に最も多く移植された臓器の第2位に位置しており、6300件の手術が行われている。第1位は角膜の移植で1万7100件が行われた。
ブラジルはSUSにおける移植手術の歴史的な記録を更新しており、昨年は3万件以上の移植が実施された。それでもなお、移植待機リストの規模は依然として大きく、現在約7万8千人が臓器や組織の提供を待っており、そのうち約4万2800人が腎臓移植の対象者とされている。