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平和と共生に貢献する決意新たに=第65回海外日系人大会 開催=17カ国から155人が対面参加

2025年10月4日

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海外日系人協会(平井伸治会長)が主催する第65回海外日系人大会が9月17日~19日の3日間、東京で開催された。「混迷と不安が深まる世界とニッケイ社会~新たなつながりを求めて」を総合テーマに開催された同大会には、17カ国から155人が対面参加、オンラインには20カ国から265人が参加登録し、日系人が果たすべき役割と世代を超えた「新たなつながり」の構築について活発な意見交換が行われた。

初日に行われた基調講演には、ブラジル日本文化福祉協会の名誉会長である石川レナト氏が登壇。排他的な発言や偏見が広がる世界情勢を背景に、「国境を越えて異なる文化の中でアイデンティティを築く難しさを知る日系人だからこそ、できる使命がある」と強調。若い世代の主体性を引き出すことや、日本にルーツを持たない日本文化愛好家も含めた「新しい世代が創るニッケイ社会の未来」に希望を繋ぐ重要性を訴えた。

今大会では参加者の半数近くがユース(若者)となった。大会に先立って開催した「ユース交流会」では、偏見と誤った情報が広がる中で、日系ユースが日本社会に貢献できる具体的な方法として、大学院レベルで学んだ専門知識の発信や、正確でポジティブな情報の発信・拡散などが提案された。交流会で話し合われた内容は2日目に「ユース会議報告」として発表された。

大会2日目の国際シンポジウムでは、二つのテーマでパネルディスカッションが実施された。その①「新たなつながりを求めるニッケイ新世代」では、日系ブラジル人ジャーナリストや大学院生、ハワイ出身の若手ビジネスマン、在日の日系人弁護士など、若い世代のパネリスト4人が登壇。日本社会に順応した新世代の経験をコミュニティに還元することの必要性や、日系4世ビザの役割、在日日系人コミュニティの声を「不可視化」された現状から可視化していく重要性などが議論された。

その②「ニッケイ社会を動かす女性の力」では、元総領事、弁護士、在日の起業家など、各国の第一線で活躍する日系女性リーダー4人が登壇したほか、女性の社会進出が進むフィリピンからのビデオ出演もあった。ブラジルにおける日本食文化の継承や、ハワイにおける写真花嫁の歴史を振り返りつつ日系女性の貢献を再評価したほか、日本で暮らす外国籍女性の起業を後押しする支援策や、子どもの重国籍問題の早期実現など、ジェンダー平等とマイノリティの権利に関する具体的な提言がなされた。

この他、大会初日には、ハワイにおける戦時中の強制退去について取り上げたドキュメンタリー「Removed by Force」上映や、ブラジル出身の歌手メリッサ・クニヨシさんのミニライブが行われたほか、夕刻には秋篠宮皇嗣同妃両殿下のご臨席を賜り参加者歓迎交流会が行われた。両殿下は約40分間にわたって海外参加者と親しくご懇談された。

大会2日目夕刻には、飯倉公館にて外務大臣主催のレセプションが行われ、岩屋毅外務大臣は「日本政府として日系人との連携をさらに強化し共に歩んでいきたい」と話した。

最終日は10人の登壇者が思い思いのテーマで発表を行う「日系人の主張」、日本で学ぶ若者が日本語で発表を行う「在日日系人スピーチ」のほか、衆参両議院議長主催の昼食会が開催され、海外参加者は国会議員らと活発に交流した。

今大会は、過去の苦難を乗り越えて共生社会の実現に貢献してきた日系社会の歴史を再認識しつつ、日系人が「分断」ではなく「つながり」を求め、ハイブリッド人材として世界平和と多文化共生に貢献する決意を新たにする場となった。今大会で討議された内容は5項目からなる「大会宣言」(jadesas.or.jp/jp/wp-content/uploads/2025/09/65sengen_jp.pdf)として発表された。


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