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加古川市の「マリンガ通り」=海を越えて続く心の絆

2025年10月7日

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【兵庫県発】兵庫県加古川市内で、グーグルマップ上に「マリンガ通り」が現れた。実際に道路を走行すると、ポルトガル語で「Avenida Maringá」とともに「マリンガ通り」と記された看板が目に入り、ブラジル在住者として胸の奥に熱いものがこみ上げた。

同市はパラナ州マリンガ市と姉妹都市であり、その交流は日伯間の中でも特に活発である。姉妹都市提携が調印されたのは1973年。1992年に第1回の加古川市青年海外派遣事業が始まり、今日まで継続されている。節目の年には両市長が互いに表敬訪問を行い、絆を深めてきた。

思いがけない通りの名に導かれるように(公財)加古川市交流協会を訪ねると、両市交流の歴史をよく知る二人が迎えてくれた。青年海外派遣事業で10回にわたりマリンガを訪れた岸本俊信事務局長、そして20年以上前に派遣生として渡伯し、今年は引率者として再び訪問した坂本千穫国際交流担当係長である。

「初めて会う派遣生を家族のように迎えてくれるマリンガの人々。今の日本人が忘れかけた古き良き文化がそこには生きている」と岸本氏は語る。「人生を変えるほどの衝撃を受け、心の距離が一気に近づいた街。もう行けないと思っていたマリンガに再び引率者として立てたことが本当に嬉しい」と坂本氏も振り返る。二人は今もマリンガの人々と頻繁に連絡を取り合い、絆を深め続けている。

「マリンガ通り」は2007年、JR加古川駅北に整備された。駅前ロータリーには高さ124メートルを誇る円錐形のマリンガ大聖堂を模したモニュメントが立ち、周囲には同時期に植樹されたイペーが街並みに溶け込む。その24年前、1983年にはマリンガ市に「アヴェニーダ・カコガワ」が整備され、すでに先んじて姉妹都市の名を冠していた。

2023年、姉妹都市提携50周年を迎えた節目の年には、マリンガ市長一行も訪れ駅北のイペーの横に記念碑が新たに建てられた。市内には中心街以外にも、ブラジルとの縁を感じさせる場所が点在しているという。

マリンガを知らない者にとって、大聖堂のモニュメントは円錐オブジェと思われがちながら、海を越えて紡がれてきた両市の温かな交流の物語が広く共有される時、その風景はさらに鮮やかに輝きを放つに違いない。(文・大浦智子)



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