訃報=老年医学の父=森口幸雄さん
南米における「老年医学の父」と称され、長年に渡って日系移民の健康を支え続けた医師の森口幸雄さん(リオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレ市)が9日、死去した。99歳だった。葬儀は10日、埋葬は11日に執り行われた。
森口さんは東京生まれで、1948年に慶應義塾大学医学部を卒業。57年にイタリア・ミラノ大学で博士号を取得し、ローマ教皇パウロ6世の医学顧問、また、清泉女子大学(老年医学)教授などを務めた。
71年にブラジルに移住し、リオ・グランデ・ド・スル連邦大学(UFRGS)で医師免許を再取得。PUCRS(リオ・グランデ・ド・スル・カトリック大学)に老年医学研究所を創設した。老年医学に関する研究で国際的な評価を受け、73年にラテンアメリカで初めて老年医学の大学院を導入。
これまでに国際協力事業団総裁賞、外務大臣賞、読売新聞医療功労賞、そしてブラジルにおいてはリオ・グランデ・ド・スル名誉州民、カトリック大学功労賞、ブラジル老年医学会功労賞を受賞している。
日系コミュニティの医療支援にも尽力し、日系コロニアでの巡回診療を1930年代から行ってきた細江静男氏の娘と結婚し、70年から2007年までの37年間、南日伯援護協会の南伯2州の巡回診療に参加。活動は現在、息子で医師の森口秀幸氏が受け継いでいる。









