ライバルに問題発言=ヴァギネルのオスカー受賞なるか?《記者コラム》
先週に引き続いて、15日に発表が迫ったアカデミー賞(オスカー)における、ブラジル映画「シークレット・エージェント」の受賞可能性について語ることにしよう。前回は、最も受賞可能性のある国際長編映画賞について語ったが、今回は他の3部門についてだ。
その他の3部門とは「作品賞」「キャスティング賞」、そしてヴァギネル・モウラがノミネートされた「主演男優賞」だ。いずれも受賞を争う相手が英語作品のため、受賞は楽ではない。
作品賞の大本命は、ポール・トーマス・アンダーソン監督による「ワン・バトル・アフター・アナザー」。同作はすでに前哨戦最大の映画賞である全米映画監督協会賞、全米映画制作者協会賞の2つを受賞済み。同作は役者の部門でもノミネートが多いため、キャスティング賞でも有利だ。従って、この2部門での受賞の可能性はほぼないだろう。
ただ、主演男優賞に関しては、わずかだがヴァギネルに追い風が吹いている。それは、この部門での受賞が本命視されていた「マーティ・シュプリーム」主演のティモシー・シャラメが問題発言を行い、現在炎上状態にあるためだ。
彼は数週間前とあるインタビューで「今どきオペラやバレエなど誰も見ない」と発言したのだが、これにバレエや劇場関係者が次々と苦情の声をあげた。彼の祖母や母、姉がいずれもバレリーナであることも騒動に拍車をかけた。
オスカーの場合、役者の組合員が投票を行う。そうした人々は劇場とのつながりが強いため、このダメージは大きい。
ブラジルは昨年のオスカーでも、国際長編映画賞で最大のライバルだった映画「エミリア・ペレス」の主演女優だったカルラ・ソフィア・ガスコンが過去に行ったヒトラー礼賛や人種差別発言を問題とされ急失速。それが決め手となって「アイム・スティル・ヒア」に受賞が転がり込んだ経緯がある。つまり「競争相手の失言」はブラジル映画界にとって縁起の良いものとされているのだ。
だが、仮にシャラメがこの発言で受賞を逃しても、漁夫の利を得る最大の候補は映画「罪人たち」の主演を務めたマイケルBジョーダンが有力との声が強い。ヴァギネルは現状ではその次の候補と見られている。
もっともヴァギネルの場合、何年も前からハリウッドで英語で演技し、比較的知られた存在でもあるため、今回、オスカーにノミネートされた時点で、役者として次のステップへ上ったとの見方もあるのだが。(陽)








