オスカー受賞より大切なこと=映画「シークレット・エージェント」
15日に行なわれたアカデミー賞の授賞式において、ブラジル映画「シークレット・エージェント」はブラジル勢2年連続オスカー獲得という偉業をなすことは出来なかった。前回、前々回の当コラムで指摘した通り、国際長編映画賞はノルウェーの「センチメンタル・バリュー」が、主演男優賞は「罪人たち」のマイケルBジョーダンが下馬評通りに受賞した。
だが、オスカーを受賞できなかったことは大したことではない。本当に大切なことは、「アイム・スティル・ヒア」「シークレット・エージェント」の2作が、ブラジル映画が世界に十分渡り合える実力を持ったものであることを証明したことにある。若いブラジルの映画製作者たちはこれを自信として、モチベーションと創造性を更にあげていくことだろう。
この2年連続オスカーノミネートという出来事は、国内で最も評価されているヴァルテル・サレス、クレベール・メンドンサ・フィーリョ両監督の傑作がたまたま続いて公開されたという偶然の産物だ。あくまで「運」であり、今後そう起こるものではない。
だが、仮にこの2作に影響された若い映像作家たちが奮起し、映画界に活気が出れば、2年連続とは言わずとも、オスカーノミネートが頻発し、ブラジルが「信頼できる映画大国」として見られるようになることも夢ではない。「そのための種が撒かれたのだ」とコラム子は思うのだ。
さらにメンドンサ・フィーリョ監督もヴァギネル・モウラもまだまだ年齢的には若く、彼らへの期待も当然膨らむ。特にヴァギネルに関してはハリウッドでの英語の演技でも評価が高いため、これが彼にとって最初で最後のオスカーノミネートではないだろうと見る向きも少なくない。
そうした中、コラム子の望むらくは、こうした躍進がブラジル音楽界でも起きないかということだ。ブラジル音楽に対する評価は60〜70年代のものが高い。国際的なサブスクリプション・サービスを通じて再評価の機運もある。
だが、現在のブラジル音楽界の国際的知名度は随分淋しいもの。
かつてブラジル映画など世界的にはほとんど知られていなかった。今や立場が逆転したようにも思える。ブラジル音楽の国際的躍進がすぐに起きるとは考えにくいが、今回のような出来事が起きないものかと期待してしまう。(陽)








