連載小説
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=82
山路は憤慨して、その場を去った。彼は次々と配られてくる戦勝ニュースを信じていた。同胞が抱いていた落胆...2024年1月12日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=81
戦争勝組 その時、表の玄関から、賑やかな男たちの声が聞こえてきた。 「昨日は所用で町へ行き、昼食を松...2024年1月10日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=80
その日は、早起きした家族が手分けして、豚を屠るための準備にかかった。半日がかりで豚は解体され適宜に加...2024年1月9日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=79
日焼して色の黒い田倉は、酒のせいでさらに赤錆た顔になっていた。 「明日、日曜だから豚一頭やっちおうか...2024年1月6日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=78
田倉は晩酌をちびちびやりながら愚痴めいたことを言った。飲みすぎると家族に悪態をついたりもするが、適度...2024年1月4日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=77
万世一系の天皇を崇め、かつて異国の征服を見ぬ民族と教えられてきた矜恃が地に落ちた。晴天の霹靂とはこの...2023年12月21日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=76
「広島市に新型爆弾が投下されたと言う。ブラジルの新聞には二〇万以上の犠牲者と報道し、全市街地が焼け野...2023年12月19日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=75
浩二は、ニュースの受信源である短波放送を、一度、自分の耳で確かめたいと望んでいた。ある日の出荷トラッ...2023年12月16日