《サンパウロ州》ボツカツ市=集中治療室入院者ゼロ!=ワクチンの接種効果明白

昨年の5月と8月に新型コロナワクチンの実験的集団接種が行われたサンパウロ州ボツカツ市では、オミクロン株による急速な感染拡大の中でも集中治療室への入院者は出ていないと19日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
アストラゼネカ・ワクチンによる18~60歳の成人向け集団接種は、2度目の接種終了から6カ月が過ぎた11月14日の時点で既に、新型コロナ感染症による入院者が97%減少という好結果を得ていた。
その後、11月17日には集中治療室が空になり、同月19日夜には、集中治療室と一般病室の双方で入院者ゼロを記録した。
集団接種開始前は集中治療室の入院者が50人を超え、多数の死者も出ていた事や、1~7月は常に病床が埋まっていた事を考えれば画期的な出来事だ。
11月19日現在の同市の感染状況は、感染者累計1万8606人、21年の264人を含む死者322人、完治者1万8264人、観察中(クワレンテーナ)20人だった。
その後も感染者は出ており、オミクロン株による急速な感染拡大が始まった今年は、9~15日にパンデミック発生後最多の1919人の感染が確認された。それでも、集中治療室の入院者はゼロの状態が続いている。
これまでの感染者発生のピークは、昨年の6月6~12日に記録した988人で、38人が集中治療室に入院していたから、予防接種効果は明らかだ。
現在の同市では、住民の90・95%が2度の接種を終え、人口の約70%にあたる10万人が補強接種も受けている。
同市保健局のアンドレ・スパダロ局長は、「オミクロン株出現で1週間の感染者数は過去最多となったが、入院者や死者の増加は起きていない。これは予防接種効果に他ならない。接種未完了者や補強接種を受けていない人は速やかに保健所へ行くべきだ。今週からは5~11歳児への接種も始まった。子供達向けの接種が一刻も早く終わり、彼らも守られる事を願っている」と語った。
ボツカツ市での実験的集団接種は、ブラジル保健省とボツカツ市市役所がオズワルド・クルス財団(Fiocruz)、オックスフォード大学、パウリスタ州立大学(Unesp)、アストラゼネカ研究所、サンパウロ連邦大学(Unifesp)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の協力を得て行われた。