《ブラジル》海岸で腹部切られた青年=血液から高濃度の薬物検出

1月末にエスピリとサント州グアラパリの海岸で、腹部を大きく切られた青年が保護され、病院に運ばれるという事件が起きた。青年の血液からヘロインの50倍の麻酔効果や鎮痛効果を持つ薬剤が検出されていた事がわかり、一段と謎が深まったと8日付G1サイトなどが報じた。
事件が起きたのは1月15日から16日にかけてで、15日夜、恋人と共にエルミトン海岸に行った青年(20)が、16日朝目覚めたら、腹部を大きく切り裂かれた上、腸の一部が切り口からはみ出していたという。エルミトン海岸はグアラパリ市の郊外にあり、人気が少ない。
青年は1月16日の朝7時半頃、救急車でヴィトリア市の救急病院に運ばれた。青年はその後、私立病院に移され、現在も入院加療中だ。その後の報道では、腹部の外傷以外ににも、鼻と顔面を骨折していた事も報じられている。
この事件は同州市警が捜査中だが、関連情報がSNSに掲載された事で衆目を集め、1月30日以降、様々な憶測やコメントが飛び交っている。
青年は事件当時、恋人と一緒におり、双方の家族が警察で事情聴取を受けたりしたが、二人とも、麻薬を使った後、意識を失ったとしており、恋人がどの程度、事件の事を理解し、関与していたかは分かっていない。
だが、SNSで流れて以来、謎の事件として扱われていた事件の謎は、血中から高濃度の薬物が検出されたという、8日の報告で更に深まった。
血中から検出されたという薬物は、ヘロインの50倍、モルヒネの100倍の麻酔、鎮痛作用を持つフェンタニルだ。青年と恋人はどちらも、薬物を使ったと語っているが、二人が使った薬物がフェンタニルかは明らかにされていない。
精神科医の一人は、フェンタニルは鎮静作用があり、多幸感やそれに続く激しい筋弛緩を引き起こし得る。用量を間違えれば死に至る可能性があり、使用が制限されている。
フェンタニルが使われる可能性がある状況の一つは病院での手術だが、適用は麻酔医が担当する。別の使い方としては、慢性的な痛みのある人が患部に貼るという方法もあるという。米国では、陶酔感などを味わうため、注射や錠剤の形で使う人もいるが、呼吸のリズムが崩れたりするため、少量で昏睡状態に陥り、死に至る事さえある。
医師がこの薬を使う時は、患者の呼吸の状態を常に観察していなければならず、人工呼吸器を使う必要が生じる事もあるという。
青年と恋人の家族を代弁する弁護士は、青年はまだ入院中で、怪我の回復に努めている事や、修学旅行のような気持ちで海岸に行った事、何者かに襲われて怪我をした上、持ち物を奪われた事などを語った以外は沈黙を守っている。警察は現在も捜査を継続中だ。