《ブラジル》大統領長男が国税庁動かし疑惑を隠蔽?=給与ピンハネ捜査潰し狙って=職員5人使い4カ月粗探し

大統領長男フラヴィオ上議(自由党・PL)が、リオ州議時代のラシャジーニャ(職員給与のピンハネ)疑惑の捜査を無効にさせることを目的に、国税庁関係者5人を動員して4カ月にわたって自身や家族の経済上の記録を調べさせていた疑惑が浮上した。22日付伯字紙、サイトが報じている。
この件は22日付のフォーリャ紙の報道で明らかになり、他の報道機関も一斉に報じている。同紙では、フラヴィオ氏が自分の親族などを幽霊職員として使い、給与のほとんどをキックバック(返金)させていたラシャジーニャ疑惑の捜査を止める目的で国税庁に働きかけたことや、同庁もそれに応えて捜査を行った証拠を挙げている。
同紙が情報公開法に基づいて入手した証拠とは、14044・720344/2020―99という捜査に関する、181ページにわたる文書だ。これは国税庁が2020年10月~2021年2月に、フラヴィオ氏、妻のフェルナンダ氏、両氏の関連する企業にまつわる2015年以降の会計データにアクセスした人物の捜査などを秘密裏に行わせた件の報告書だ。
同捜査は20年8月25日にフラヴィオ氏の依頼で行われたもので、ルシアナ・ピーレス、レナタ・アウヴェス・デ・アゼヴェド、ジュリアナ・ビエレンバック、ロドリゴ・ロシャというフラヴィオ氏の弁護士4人が、国税庁特別局長(当時)のジョゼ・バロス・トステス・ネット氏を説き伏せたという。
捜査が始まったのは同年10月23日で、フラヴィオ氏が大統領や大統領府安全保障室長官のアウグスト・エレノ氏らと同件について会合を持ったその日に、国税庁が監査員3人と分析担当者2人を指名。180日間の期限付の捜査となった。
フラヴィオ氏は捜査を依頼する際、「自分や大統領、リオ州議会などを脅かすようなイデオロギーに基づいた違法の捜査」とし、リオ州検察局が行っていたラシャジーニャ捜査を批判した。
同氏は同庁に、「自身の記録が改ざんされていないか」「リオ州の国税庁職員が(ラシャジーニャ疑惑を指摘した)金融活動管理審議会(Coaf)に対し、自身の記録を違法な形で手渡していないか」「Coafが情報に接しやすくするために国税庁職員が不正にパスワードをあたえていないか」などを調べさせた。
これらが判明した場合、フラヴィオ氏はCoafの行為の違法性を指摘し、ラシャジーニャ捜査を打ち切らせられる可能性があったが、21年2月25日に提出された報告書には「そのような痕跡は何もなかった」と記されている。
フラヴィオ氏のリオ州議時代のラシャジーニャ疑惑は、20年11月にリオ州検察局が同氏や関係者を告発するところまで進んだ。だが、その後、急に形勢が逆転し、同年12月にはリオ州税務局のクリスチアーノ・パエス・レメ・ボテーリョ主任が解雇され、21年6月には捜査の管轄が同州地裁のフラヴィオ・イタバイアーナ判事の手から離れた。
同年11月には連邦高等裁がフラヴィオ氏のリオ州地裁での裁判も無効にしたし、12月には国税庁トップが解任され、ボルソナロ家と親しい人物が指名を受けている。