《ブラジル》選挙高裁=虚報拡散アプリの懲罰検討=カルロス氏らの訪ロも捜査?

選挙高裁のエジソン・ファキン長官が2月23日、選挙裁判所は、候補者や選挙プロセス自体に対する偽情報の拡散を可能とするメッセージングアプリを罰するための最も実行可能な法的手段を研究していると述べたと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
選挙裁判所が最も懸念しているのは、ブラジルで最も使われているテレグラムだ。このアプリを開発したのはロシア人技術者で、本籍地は英国ロンドン、オペレーションセンターがアラブ首長国連邦のドゥバイに置かれている。選挙裁判所は何度もコミュニケーションを試みたが、上手くいっていない。
同長官は同件に関する何らかの規制を設ける事が必要との考えを明らかにしており、議会が動かない場合は、インターネットと選挙に関する既存の法律に基づいて、反政府勢力の申請を制限する事を可能にするような法定論文を準備するとの意向も明らかにした。
同長官は電子投票機に関するボルソナロ大統領の発言や、選挙高裁からの回答は部分的に過ぎないと有権者が見ている可能性についても訊かれたが、「選挙裁判所そのものが不当な形で影響を受けていると判断した場合にのみ、より明確に返答する」と述べた。
また、「今日の選挙裁判所の制度を攻撃する事は、選挙自体の開催に疑問を投げかける事を意味する」とし、「選挙裁判所に対する不当な攻撃があった場合は、選挙高裁の長官として、相手が納得するまで執拗に返答を行う」との考えも明らかにした。
他方、8月から選挙高裁長官となるアレッシャンドレ・モラエス副長官は2月23日、ランドルフ・ロドリゲス上議の要請を受け、2月14~16日のボルソナロ大統領のロシア訪問時にデジタル犯罪の捜査対象となっている「憎悪部隊」(gabinete do ódio)のメンバーが同行した件についての捜査を検察庁に依頼した。ロシア訪問団に同行したのは、ボルソナロ大統領次男のカルロス氏と側近のタルシオ・アルナウド氏だ。
憎悪部隊は民主主義的なシステムへの攻撃などを行っているとして以前から捜査対象となっている上、ロシアは世界規模でサイバー攻撃を行っている国だからだ。ロシアによるサイバー攻撃は2016年と20年の米国での選挙などでも取り沙汰された。
ロドリゲス上議は、ボルソナロ大統領がブラジルの選挙制度への攻撃を増し、軍隊に基づく権威の主張を繰り返し、選挙制度の完全性に疑問を呈し始めた事に注意を呼びかけ、国際情勢が緊迫化する中で、憎悪部隊も引き連れて強行された訪ロの本当の目的を調べるべきだと主張している。
検察庁は2日、カルロス氏らが同行した事には犯罪性はないとの見解を表明した。その一方、ロドリゲス上議が求めた、各メンバーの訪ロ中の行動日程などを明らかにする資料の提出を求めている。
同日はボルソナロ氏が恒例のライブで行った選挙制度や電子投票に関する虚報拡散といえる発言についても、起訴するか否かを決める前により詳細な捜査が必要との見解を明らかにしている。