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《ブラジル》ウクライナ危機は私の問題=現地に代理母頼んだ伯人親

2022年3月9日

戦火の中を潜り抜け、ブラジルに帰ってきた一家とそれを迎える親族(貸し腹について報じた6日付G1サイトの記事の一部)
戦火の中を潜り抜け、ブラジルに帰ってきた一家とそれを迎える親族(貸し腹について報じた6日付G1サイトの記事の一部)

 ロシアによる軍事侵攻で生じたウクライナ危機を、自分自身の問題として感じているブラジル人は、ウクライナ出身者やその子孫に限らない。
 6日付G1サイトなどが報じている、貸し腹で生まれる子供を案じる母親などはその一例だ。ブラジル人女性と契約し、代理出産するウクライナ人女性の数は定かではないが、ウクライナは代理母が法律で認められており、代理出産してくれる人を探す女性や夫婦は世界中から来るという。
 だが、ロシアによる軍事侵攻で、出産日が近づいたらウクライナまで行き、我が子と対面後、ブラジルに連れ帰るという計画が台無しになり、我が子を宿した女性や我が子、同国の産科病院に託した受精卵が無事か分からず、日々気をもんでいる人達がいる。
 2020年にグローボ局が行った調査では、キエフの産科病院では、16カ国の夫婦の依頼で代理出産する人がいた。同局のスタッフがその時訪問した産科病院では今、ブラジル人夫妻の子供を宿している女性が少なくとも10人いるという。
 ウクライナ人女性が我が子を産んでくれるのを待っているというプリシラ氏は、何年間も不妊治療を行ったが妊娠できずに、代理出産を頼んだ。彼女はブラジルに送られてくる超音波検査の映像などを見て、我が子の成長や会える日を楽しみにしていた。そこで起きたのがロシア軍事侵攻だった。
 プリシラ氏は、25日が出産予定日だから、その時にはキエフかその隣国まで出向き、我が子と対面できる事を信じて待っているという。

 夫婦の愛の結晶を胸に抱く日を待ち望み、「私達の分身が世界の反対側にいるの。彼を迎えるための準備は万端よ。名前ももう決まっているの」というプリシラ氏だが、「それまで妊婦が生きていられるかどうか。代理出産以外に子供をもうける方法がなかった。こんな事になり、心は乱れっぱなしよ」とその心情を吐露する。
 プリシラ氏は、「こんな事を話す気になったのは、ブラジル政府やブラジル軍が、私や私同様に代理出産という方法を選んだブラジル人家庭の子供達を迎えに行くのを助け、国境まで安全につれてきて欲しいからなの」とも語った。
 ケリー氏とその夫は娘のミカエラちゃんが生まれた時にキエフにおり、最初の砲撃で地下シェルターに退避。シェルターを出たのは10日後で、駅に着くと他のブラジル人達と共に列車に乗り込み、緊張と危険を伴う旅の末、ポーランドに脱出する事ができた。
 5日にパラナ州に帰り着いたミカエラちゃんの父親は、「戦争そのものより、生まれたばかりのミカエラが極寒に耐えられるかが心配だった。帰国できてほっとしているけれど、ウクライナの人達のためにもっと何かできなかったかと考えてしまう」と語っている。
 ウクライナ人に代理出産を依頼していた人の中には、子供だけでなく、代理母を自国に連れてくる事で、産まれて来る子供と女性の双方を守ろうとするケースも出ているという。 


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