《ブラジル》CNI=GDPの予想を下方修正=工業界は0・2%の減産か
全国工業連合(CNI)が、今年のブラジルの国内総生産(GDP)は0・9%成長するが、工業界のGDPは0・2%の減産となると見通しを発表したと13日付現地サイトが報じた。
この日の見通しは、第1四半期の実績やウクライナ危機と新型コロナのオミクロン株による影響を考慮して見直したもので、ブラジルのGDPの成長見込み率は1・2%から0・9%に、工業界のGDPは0・5%増から0・2%減に下方修正された。
ウクライナ危機とそれに伴うロシアへの経済制裁は、原油価格の高騰や食糧を中心とするコモディティの供給不足や価格高騰を招いている。
中国がオミクロン株による感染を抑制するために行っているロックダウンは、同国内の生産活動だけでなく、他国との貿易にも影響。ブラジルでも、同国が供給している部品などが不足し、生産活動が滞る分野が広がる可能性がある。また、鉄鉱石などの輸出でも影響が生じうる。
CNIの経済担当エグゼクティブのマリオ・セルジオ・テレス氏は、原材料と消費財で生じる問題の影響を最も強く受けるのは製造業で、需要の低迷もあって生じるGDPの低下は2%に及ぶと見ている。製造業のGDPは新型コロナのパンデミック初年の2020年に3・4%減少したが、2021年は4・5%成長していた。
需要の低迷は国民の所得や購買力が低下している事と、経済基本金利が引き上げられて、融資などが利用しにくくなった事も影響している。需要の低迷は、車や電気、電化製品などの耐久消費財の需要でより顕著だ。これらの製品は、部品の供給不足などで既に、生産も低下している。
鉱業のGDPは2%成長と見られている。こちらは20年の1・3%を上回るが、21年の3%は下回る見込みだ。鉱業は、ウクライナ危機によるコモディティ価格の高騰(鉄鉱石や原油など)がプラスに働くと見られている分野だ。
マリオ氏は基本金利の引き上げはインフレ抑制効果と共に経済活動の低下も招きうる点を警告。工業製品税の引き下げはその意味で有効としているが、それでも工業生産は減少となるのを避け得ないようだ。