PT=連立「希望のブラジル」発足=労働改革の取消しなどを求める=PSBは「行き過ぎ」を牽制

労働者党(PT)は18日、ブラジル共産党(PCDoB)と緑の党(PV)との連立(フェデラソン)グループ「希望のブラジル」を正式に成立させた。このフェデラソンでは、労働改革の取消しなどを掲げる意向でいる。19日付現地紙などが報じている。
このフェデラソンでは、PT党首のグレイシ・ホフマン氏が会長となり、PCdoB党首のルシアナ・サントス氏とPV党首のジョゼ・ルイス・ペナ氏が副会長となる。
全国執行委員会は18人で構成され、3党の党首以外の15人は、2018年の下院議員選の当選者数に比例して決められる。また、60人からなるフェデラソン会議(総会)も組まれる。内9人は3党が3人ずつ、残り51人は全国執行委員会同様、18年の下議選の結果に即した比率で選ばれる。また、総会の議員の少なくとも30%は女性、20%は少数者グループで構成される。
このフェデラソンの成立により、ルーラ氏はテメル政権時代に行われた労働改革の取消し(revogação)を打ち出すと見られている。テメル政権での労働改革は、雇用に関して企業側が有利なためだ。
ルーラ氏は、スペインのペドロ・サンチェス首相が率いる左派政権が行った、労働改革再編を参考にする意向で、中道を意識して当初は「見直し(revisão)」と表現していた。だが、フェデラソン内で「取消しにすべきだ」との意見が目立ち、ルーラ氏もこれに同調することとなった。
ルーラ氏は14日に行われた労組とのイベントの際にもギグワーカー(ウーバー配達員などのアプリを介する就労形態)が置かれている現状を批判し、スペインでの労働改革の解体に言及。「時代に逆行することはできない」と語気を強めていた。
こうした「希望のブラジル」側の動きを警戒しているのがブラジル社会党(PSB)だ。同党はもともと中道左派である上、保守派の民主社会党(PSDB)から移籍してきたジェラウド・アウキミン元サンパウロ州知事をルーラ氏の副候補に据えるため、アウキミン氏の意図に極端に反することはできないからだ。
「今回の選挙の主眼は左派対右派ではなく、民主主義対独裁主義であることを忘れてはならない」とPSBのカルロス・シケイラ党首は主張している。
またPTは19日、政党「連帯」から大統領選でのルーラ氏支持を取り付けたと発表した。同党党首のパウリーニョ・ダ・フォルサ氏は労組とのつながりが強いが、労組との会合で批判を浴びたことなどで、PTとの選挙協力を保留する姿勢を見せた。その後、大統領選出馬を狙うエドゥアルド・レイテ氏(PSDB)と面会するなど、支持取り付けが危ぶまれた。だが、19日にルーラ氏らが説得を試み、支持獲得に成功した。
PTはさらに、社会民主党(PSD)の協力も求めている。最大の狙いはミナス・ジェライス州で、前ベロ・オリゾンテ市長のアレッシャンドレ・カリル氏を推し、親ボルソナロ派のロメウ・ゼマ現知事(ノーヴォ)を倒すことだ。世論調査でも、カリル氏にルーラ氏の支持が加われば、ゼマ氏を逆転できるとのシミュレーションも出てきている。