site.title

《ブラジル》最高裁がシルヴェイラ下議に実刑判決下す=大統領が恩赦発行で対抗?!=司法側から猛反発相次ぐ

2022年4月23日

シルヴェイラ下議 (Plinio Xavier/Camara dos Deputados)
シルヴェイラ下議 (Plinio Xavier/Camara dos Deputados)

 2020年の最高裁侵入や翌21年の「最高裁判事を全員更迭」「軍政令第5条(AI5)復活」提唱などで民主主義を攻撃したとして起訴されていたダニエル・シルヴェイラ下議の審議を最高裁が20日に行い、判事投票10対1で8年9カ月の実刑判決や被選挙権剥奪などを決めた。だが、21日にボルソナロ大統領が恩赦(懲罰免除、indulto)を出して自身の熱心な支持者のシルヴェイラ氏に助けの手を差し伸べ、物議を醸している。20~22日付現地紙、サイトが報じている。
 シルヴェイラ氏は昨年2月に最高裁を侮辱する暴力的な言動を動画で拡散した後に逮捕された。拘束期間は本人の電子足環の装着不服従なども重なり、11月まで続いた。
 シルヴェイラ氏は釈放後も反省の色を見せず、最高裁、とりわけ同氏の逮捕を命じたアレッシャンドレ・デ・モラエス判事を攻撃。それが今回、最高裁に同氏の裁判を急がせる結果ともなった。
 シルヴェイラ氏はボルソナロ派にとっての「言論の自由」の象徴的存在で、20日の裁判には強い関心が寄せられていた。当日はシルヴェイラ氏や大統領三男のエドゥアルド下議が最高裁突入を試みたが、阻まれた。シルヴェイラ氏は当日も最高裁批判を行った。
 最高裁での審理結果は大統領支持派の予想を超えるものだった。報告官のモラエス判事が昼間の外出が認められない8年9カ月の実刑と議席剥奪、今年の選挙出馬を含む政治活動の権利停止を求めたところ、判事9人が同意し、「有罪」票を投じた。「無罪」を主張したのはボルソナロ氏が選んだ判事の一人のカシオ・マルケス判事のみだった。
 意外だと驚かれたのは、ボルソナロ氏が「筋金入りの福音派」として指名したアンドレ・メンドンサ氏も有罪票を投じたことだ。同判事は報告官より短い2年4カ月の刑期を提言したものの、民主主義への攻撃は容認しなかった。大統領支持派はネット上でメンドンサ氏への批判を繰り広げたが、同氏は「宗教的信条と裁判の判断は混同してはならない」とし、判断を正当化した。
 だが21日、ボルソナロ大統領はシルヴェイラ氏に恩赦を認める大統領令を出し、特別官報に掲載。大統領は憲法84条が与える恩赦の権利を適用するとし、「表現の自由」など六つの理由でシルヴェイラ氏への刑は無効と主張した。大統領は恒例ライブでも恩赦は合憲と主張した。
 だが、この行為には司法関係者から猛反発が起きた。司法界が問題としたのは「民主主義を否定する言動を認めた」「司法上の最高判断である最高裁判決を行政側が否定した」という点で、政界も含め、「ボルソナロ氏による民主主義への最大の攻撃」との声が出ている。恩赦は通常公共的なもので、特定の個人への適用である点も問題視されている。
 最高裁判事らは既に「恩赦を出す基準として相応しくない」として、大統領令を審理する意向を示しており、一部政党も恩赦撤回を求める訴えを出した。なお、大統領令が有効と認められても、シルヴェイラ氏は刑執行を逃れるだけで、有罪判決は覆らないし、被選挙権も回復できない。


《ブラジル》リオのカーニバルのパレード開催中=各エスコーラのテーマなど紹介=演出家らの手腕にも注目前の記事 《ブラジル》リオのカーニバルのパレード開催中=各エスコーラのテーマなど紹介=演出家らの手腕にも注目《ブラジル》家計消費意欲が連続し向上=4月は7項目の全てが改善次の記事《ブラジル》家計消費意欲が連続し向上=4月は7項目の全てが改善
Loading...