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《ブラジル》年10%超の物価高に苦しむ企業=狂う仕入れ値、遅れる投資計画=人員削減で労組との難しい交渉も

2022年5月10日

パンデミック開始以来、急激に上がり始めたインフレ率(ブラジル中央銀行サイト)
パンデミック開始以来、急激に上がり始めたインフレ率(ブラジル中央銀行サイト)

 インフレが年10%を超すと、企業は生産コストを予測できず、投資が滞り、価格をより頻繁に調整する必要が生じる。4月のIPCA-15(15日絞めの広範囲消費者物価指数)は12カ月累計で12・03%で、03年11月の12・69%以来、最も高い。
 多くの企業は翌月の原料費や輸送費を予測できず、経済的損失回避のため、生産プロセス改善のための投資の棚上げや年間を通じた販売モデルの変更、頻繁な価格調整を行っていると9日付現地紙やサイトが報じている。
 物価高進で消費が減ると、企業も売上が減るため、投資の停止や人員削減以外に選択肢がなくなり、失業者が増えるという、経済の悪循環に陥りがちだ。
 板紙会社パピルスの共同代表のアマンド・ヴァレラ氏は、「コストの正確な予測が困難」で、通常は年1度の定価表改定を頻繁に行っている。昨年は3回の価格調整を行い、今年も6月に再調整を行うと通達済みだ。
 継電器メーカーのFinderは、電子部品の価格を予定より早く見直す。通常は年末に1度調整するが、今年は6月から最大10%の調整を行う。同社は生産部品の大半をイタリアの本社から輸入しており、レアル高は一助となっている。
 サンパウロ州の用水・排水処理システムメーカー、フルイド・フィーダーでは、高インフレで新製品開発や生産プロセス改善、多くの設備への投資計画が遅れている。今年の予算はインフレ予測が5%台だった昨年作られ、実態に合わなくなっている。
 ペルナンブッコ州レシフェ市のIoTシステムの電子産業ボトムアップ・テレメトリでは、原材料の購入契約は2年前に結ばれており、価格変更が必要だが、公共サービスに従事している顧客向けの価格変更は困難だ。現状は「危機的状況」だが、年頭に調整した賃金では暮らせないと苦情を呈している労組と交渉する必要が生じ、準備に入っている。
 原材料の高騰は建設会社も圧迫している。ネクスト・レアリティの共同経営者フィリッペ・アントゥネス氏によると、3月時点の全国建設費指数(INCC)は11・47%だったが、鉄鋼価格は既に20%以上上昇していた。同氏は、必要資材を早めに仕入れ、敷地内に保管する、作業が遅れて費用が増えないように工事のペースを上げるなどの対策を打ち出している。


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