《ブラジル》最高裁がIPI引き下げの一部停止=マナウスFZからの陳情受け

最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が6日、工業製品税(IPI)引き下げ関連の大統領令の一部を差し止める判断を下したと6、7日付現地紙、サイトが報じた。
問題の大統領令は4月29日付官報に掲載されたもの。2月25日に出たIPIを25%割り引くという大統領令を、35%の割り引きに変更した。経済省はこれにより、IPIの徴税額が234億レアル減ると見ていたが、減税により工業界の生産活動を促進しようと考えた。
だが、これに反発したのがアマゾナス州マナウス市のフリーゾーン(FZ、ポ語ではゾナ・フランカ)で生産活動を行っている企業家達だ。マナウス市のフリーゾーンでは税制上の優遇措置が適用され、他の地域より有利な条件で生産活動を行う事ができるはずなのに、IPIの割引率が高まると、同地区で生産活動を行っている企業のメリットが減る。
モラエス判事の判断は、政党、連帯からの要請を受けたもので、IPIを35%割り引くと、フリーゾーンで生産活動を行っている企業が受けていた恩恵は大幅に削減され、雇用や生産活動にも影響が及ぶとして、フリーゾーンでも生産している製品に関しては大統領令を差し止めた。
経済省は4月末の時点でも、フリーゾーンで生産している製品の70%以上は、35%へのIPI割り引きの対象外となっていると説明していた。だが、現地の企業家やアマゾナス州選出の議員達は不満の色を隠せず、最高裁に大統領令の差し止めを求めていた。
モラエス判事の判断は、10日間を与えてボルソナロ大統領に今回の大統領令に関する説明を行うよう求めた上、さらに5日間を与えて、総弁護庁(AGU)や連邦検察庁(PGR)の見解を問うというものだ。
アマゾナス州選出の議員達は、「フリーゾーンで生じていた雇用上のリスクが取り除かれた」という表現で安堵感を表明した。