《ブラジル》5月のインフレやや減速?=それでも1年間で12%超=車用のガスは最高値を更新

ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)が17日、5月10日締めの総合物価指数(IGP―10)は0・10%で、4月の2・48%を下回ったと発表したと同日付現地サイトが報じた。
IGPは卸売物価指数(IPA)6割、消費者物価指数(IPC)3割、全国建設コスト指数(INCC)1割で算出される。12カ月間の累計は12・13%で、4月15日締めの広範囲消費者物価指数(IPCA―15)の12カ月累計(12・03%)以上だが、昨年5月のIGP―10比なら3分の1だ。
5月の物価沈静化は、IPAが2・81%から0・08%、IPCは1・67%から0・54%、INCCも1・17%から0・74%と3項目全てで確認された。
他方、コンサルタント会社のXPは16日、5月のIPCAは、2日発表の中銀の経済動向調査フォーカスの0・28%を上回る0・50%との予想を発表。フォーカスや経済活動指数(IBC―Br)のデータは、3日に再開した職員ストで発表が止まっている。
5月のIGP―10にはディーゼル油値上げの影響は含まれていないはずだが、16日付現地サイトは、車用天然ガス(GNV)価格の19%調整後、GNVの販売・装着店の客足が半減した事、12カ月間の調整率37%はディーゼル油以下だが、ガソリンやエタノール以上である事などを報じている。
国家原油庁(ANP)によると、GNVの平均価格は5・265レアル/立方メートルで、5・232レアル/リットルのエタノールに近い。GNV導入には3~5千レアルかかる上、車種やエアコンの利用、運転時の癖などで燃費が大きく変わるため、切り替えには熟慮が必要だ。
なお、ボルソナロ大統領はウクライナ危機が世界的なインフレの原因というが、同様かそれ以上に懸念されるのが中国のコロナ政策だ。繰り返されるロックダウンで、同国の4月の小売販売は昨年同月比で11・1%、工業生産も2・9%減った。中国の消費や工業生産の減少はブラジルも含む貿易相手国に大きな影響を与える。ボルソナロ氏は現在もブラジルでの外出規制などを批判している。
だが、一部のアナリストは、ボルソナロ氏が騒ぎ立てなければ燃料価格の高騰も沈静化すると分析。実現不能なペトロブラス民営化検討などによる構造的な危機創出は、生産コスト高やレアル安、安定した投資減少を招き、悪循環を招くだけと批判している。