《ブラジル》ペトロブラスが燃料代を再値上げ発表=ボルソナロやセントロンが激怒、対立必至=苦肉の値下げ対策の最中に

ペトロブラス(PB)は17日、製油所出口価格をガソリンで5・18%、ディーゼル油で14・26%値上げすると発表した。この調整は、連邦政府や下院のセントロン勢力が値上げに反対し、同社の経営陣退陣を求める中で行われた。16、17日付現地紙、サイトが報じている。
これにより、ガソリンの出口価格は18日から1リットルあたり3・86レアルが4・06レアルに、ディーゼル油は4・91レアルが5・61レアルになる。ガソリンは3月11日、ディーゼルは5月10日以来の値上げとなった。台所用の液化ガス(LPG)の調整は行われない。
今回の値上げはボルソナロ政権やセントロン勢力を激怒させた。燃料代値上げは、選挙において政権側に不利になるからだ。ボルソナロ大統領は、昨年の年間インフレ率が10%を超えた最大要因である燃料代の値上げが選挙年に起こるのを是が非でも阻止したいとし、3月の値上げ後は軍出身者のジョアキン・シウヴァ・エ・ルナ総裁の解任まで行った。3月の値上げは、ガソリンが約19%、ディーゼル油は約25%と特に大幅だった。大統領は、同公社が昨年、大きな収益を上げたことも快く思っていない。
また、燃料の消費者価格抑制のため、議会では商品流通サービス税(ICMS)の上限を17%とする法案を5月以降、緊急審議。下院が承認した法案が上院で修正されたため、下院が再審議後に承認。大統領裁可を待つばかりとなっていた。
このように、与党とPBとの間には緊迫した空気が流れていたが、同社経営審議会が16日に値上げ断行を承認、17日に発表となった。
これを知り、セントロンの中枢の進歩党(PP)党首でもあるシロ・ノゲイラ官房長官と同党のアルトゥール・リラ下院議長は激怒。官房長官は「ジョゼ・マウロ総裁をすぐにでも解任する」と息巻き、リラ議長は「燃料値上げに対して厳しい対策をとる」と宣言した。ただ、ICMS上限法案も、国際市場価格と為替に合わせた変動制が続く限り無意味、との声も根強くあった。
PBの価格政策は2016年のテメル政権時代に導入された。連邦政府に人事変更のための候補者名簿を提出済みで、来週の異動実現に向けて圧力をかけている。リラ議長も価格政策について討議する意向を表明した。