4ホームの入居料値上げを議論=援協7月定例役員会

サンパウロ日伯援護協会(援協、税田パウロ清七会長)の7月定例役員会が28日午前9時半から、サンパウロ市リベルダーデ区の援協ビル5階会議室とオンラインで開かれた。
小田セルジオ会計理事による6月分会計報告では、167万8487レアルの赤字が発表された(日伯友好病院は別会計)。
事務局報告では前園マルセリーノ事務局長が、6月は全体的にほぼ動きがなかった中で、スザノ・イペランジアホームの一人分の月額経費が上昇したことについて説明。同ホームの入居者約15人と職員6人がコロナの陽性反応(重症化なし、7月28日現在で陽性者はゼロ)で隔離措置を行ったため、外部スタッフへの委託で若干経費が上がったとした。
また、6月から再開された巡回診療を、サンパウロ州バルジェン・グランデ、サント・アンドレ、サンパウロ市ビラ・カロン区で実施したとし、今年は月1、2回のペースで継続していくという。
議題では、7月15~17日に開催された県連主催第23回日本祭りに日伯友好病院のブースを出展したこと、9月4日にリベルダーデ区界隈で実施されるブラジル独立200周年記念イベントへの協力、与儀昭雄前会長(8月30日)、佐々木ヴァルテル第4副会長(9月17日)へのサンパウロ市名誉市民賞授賞式について報告が行われた。
各委員会報告では、施設活性化委員会から日伯福祉援護協会傘下の4つの老人ホーム(イペランジア、サントス、さくら、あけぼの)の入居料について、値上げする案が出された。同案に対しては、出席していた役員から「社会的弱者を支援するという援協の創立当時からの経緯を忘れてはならない。そうした方々の財政能力によって対応してほしい」と反対する意見もあった。議論の末、値上げ案はこの日の役員会では承認されず、次回の会議に持ち越しとなった。
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4ホームの入居料値上げ案に関する本紙の取材への援協側の説明は次の通り。
現在、4ホームを合わせた赤字額は毎月約100万レアルに及び、ブラジル内でも高品質の要介護サービスを提供する4ホームでは、同サービス維持のために費用の7割は医師や介護スタッフ、施設長等の人件費が占める。
これら4ホームの経費を合わせた援協全体の赤字補填(ほてん)は現在のところ、日伯友好病院の収益でまかなわれている状況。ただ今後、援協の公益社会福祉法人格取得条件が年々困難になる中で、将来的な安定経営のためには現実問題として、各ホームの入居料値上げは必要となる。
しかし、当然ながら援協が社会的弱者を見捨てるわけではない。ゆくゆくは外部の(比較的安価な)老人ホームと提携し、例えば、日本人及び日系人を20人なら20人と枠を区切って入居してもらい、食事面などは援協の栄養士に指導してもらうことも考慮している。