日本人形の伝統美を身近に鑑賞=国際交流基金巡回展「日本の人形」

サンパウロ市モッカ地区の移民博物館(Museu de Imigração)が国際交流基金の巡回展「人形:日本の人形の芸術と美」を7月27日から9月18日まで開催している。
国際交流基金は「日本と世界の友情と絆を育むこと」をミッションに掲げる日本の外務省所管の団体。芸術文化交流や海外での日本語教育、日本研究を中心に、国際的な相互理解の促進活動を行っている。
日本の芸術文化を海外に紹介する活動に力を入れており、国際交流基金が独自に収集した現代美術、工芸、写真、建築、デザイン、マンガ、日本の人形など、約15種類のアート作品の「巡回展プログラム」を継続的に実施している。
巡回展は毎年、世界80カ所の美術館や展示施設で開催しており、今回の特別展「人形」は、特に人気の高い巡回展の一つだという。展示は日本人形文化研究所の林直輝氏、東京国立博物館の三田角之氏が監修し、多くの人形作家が作品提供協力をしている。
館内で展示されているのは、日本の長い歴史の中で培われてきた人形文化の中から、厳選された67体の人形。日本の人形の原型とされている「形代」や、十文字形に作った棒の上部にきれで包んだ顔を付け、小児の祓いに用いられる「天児」、天児に赤ちゃんの産着などの衣装を着せた這子などだ。
節句人形や全国各地の風土や逸話から生まれた郷土人形、大型のものでは浄瑠璃人形の初菊、そして現代で人気のリカちゃん人形やフィギュアといった創作人形まで、日本の人形文化を「子どもの成長を祈る節句人形」、「美術としての人形」、「民俗芸術としての人形」、「人形文化の広がり」の4つのセクションに分けて包括的に展示している。
来館した日本人女性は、「日本でも全国各地の人形を身近に鑑賞できる機会は少ないです。日本人形には怖い印象がありましたが、今回の作品は伝統美を保ちながらかわいらしいデザインばかりで、とても興味深かったです」と話した。