《ブラジル》銃所持増に不安持つ有権者=大統領に投じた人々でさえ

Genial/Quaestが8月25~26日に全国2千人を対象に行った調査の結果、有権者の多くが銃所持者や銃使用の増加に不安を感じている事が判明したと8月31日エスタード紙電子版、オ・グローボサイトなどが報じた。
ボルソナロ大統領が就任後、銃規制を緩和した事で、収集家やスポーツ射撃の選手・愛好家、猟師からなる、CACと呼ばれるグループの人達が所有する銃の数は、同氏就任前の2018年末の約3倍に増えている。だが、隣人が銃を持っていると知れば、より不安になるという人は8割に及んでいる事などが明らかになった。
「銃を持っている人は銃撃戦に巻き込まれ易いか」との質問では「はい」と答えた人が75%、「いいえ」と答えた人が24%だった。「はい」と答えた人は男性が71%、女性が78%で、女性の方がより不安に思っている事が判明した。
「銃規制緩和で青年達への危険度が増す」と考えている人は69%いた。ここでも、男性は63%、女性は75%で、性による差が12%ポイントに広がっている。
「近くに銃を持っている人がいると怖い」という人は64%だった。男女の差は、56%対71%で、15%ポイントに広がっている。
「もし買えるなら、自分を守るために銃を買いたい」という人は全体でも30%のみ。男女別に見ると、男性で42%、女性で20%が買いたいと考えていた。この項目での男女差は22%ポイントだ。

「銃の購入や携行、使用を容易にする法律によって安全性が増した」と考えている人も30%のみで、男性では40%、女性では21%(19%ポイント差)だった。
「隣人が銃を持っていると知ったら安心感が増すか」との質問でも、「安心感が増す」は17%のみで、「不安感が増す」と答えた人が81%に上った。隣人が銃を持っていると知れば不安感が増す人は男性74%、女性87%(13%ポイント差)で、いずれの場合も、不安感が増す人の方が圧倒的に多い。
これら6項目の質問からは、いずれの項目でも女性の不安感がより強い事や、銃規制緩和でかえって心配や不安感が増している事も明らかになった。
同調査では大統領選での支持率調査も行っており、8月31日に発表されたデータによると、ルーラ氏が44%、ボルソナロ氏が32%、その他の候補が13%という結果が出ている。8月17日時点での支持率はルーラ氏45%、ボルソナロ氏33%、その他の候補10%だった。
なお、先の6項目の質問を支持者別に集計すると、ボルソナロ氏を支持する人(男性の方が多い)では、銃を持っている人は銃撃戦に巻き込まれ易いと考える人と、隣人が銃を持っていると知ったら不安感が増すという人が共に61%など、全ての項目で他の候補を支持する人達とは明らかな差があった。
それでも、ボルソナロ市の支持者が全員、銃規制緩和や銃所持者の増加に賛同している訳ではない事も明らかになっている。
複数の政党や民間団体は、大統領選の候補者らに銃の規制緩和を見直す事なども求めている。また、5日にはエジソン・ファキン最高裁判事が、選挙前の政治的暴力増加を懸念し、銃規制緩和を定めた大統領令を差し止める司法判断を下した。