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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=44

2023年8月29日

 早生まれで小学校の四年生まで行った浩二は、手にした新聞を開いて、所々眼を通していたが、
「小父さん、《ランピオンの横行》とあるの、何のこと?」
 見出しだけ読んで磯田に訊く。
「徒党を組んで、ブラジルの東北地方を荒らしている盗賊団のことだよ。警察力では制圧しきれきず、軍隊を出して征討をすすめているが、神出鬼没でなかなか捕まらないんだ。言動に義賊的な面もあり、仲間入りする若者も多いと言う。戦う度に強力になり、一つの王国を築いているらしい。その内にサンパウロ州にも接近してくるんじゃないかって。騎馬隊で襲い、家畜や人の子供でもかっさらって行くという噂だ」
「そう...
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