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亜国大統領選=ミレイが大差で勝利=伯米で保守派が喜ぶ=不安残るルーラ周辺

2023年11月22日

当選したミレイ氏(X)
当選したミレイ氏(X)

 19日、アルゼンチンで大統領選の決選投票が行われ、超リベラル候補のハビエル・ミレイ氏が現与党候補のセルヒオ・マッサ氏を破って当選した。中銀廃止やペソを廃止してドル導入などの過激な公約に加え、かねてからルーラ大統領を批判し続けている同氏の大統領就任により、ブラジルとの関係がどうなるかが注目される。同日付UOLサイトなど(1)(2)が報じている。

 アルゼンチンの大統領選は8月の予備選でミレイ氏が勝利したが、10月の一次投票で予備選3位のマッサ氏が逆転。しかし、一次投票で3位だった中道右派のパトリシア・ブルリッチ候補がミレイ氏支持を宣言するなど、状況が二転三転。加えて、ミレイ、マッサ両氏共に拒絶率が50%以上など、不確定要素が強かった。
 だが、一次投票後のキャンペーンを有利に進めていたミレイ氏が55・69%を獲得し、44・31%だったマッサ氏に10%ポイント以上の差をつけての勝利した。これに関しては、側近のフェルナンド・セリメド氏が「ここまで差がつくとは思っていなかった」と認めるほどの結果となった。
 ミレイ氏の勝因としては、アルゼンチンで長年続くフアン・ペロン元大統領以来のペロン主義、とりわけ、2000年代に始まったネストル、クリスチーナ・キルチネル夫妻が大統領だった時代から続く中道左派寄りのキルチネリズモから脱却したい意向が国民の間で強まったためとの見方が強い。フェルナンデス現政権で副大統領も務めたクリスチーナ氏には、収賄容疑で有罪となるなど、汚職のイメージも付きまとった。
 ミレイ氏の勝利は国際的に保守、リベラル、極右系の人たちを喜ばせた。米国のトランプ前大統領は自身運営のSNSプラットフォームでミレイ氏の当選を祝福。超リベラルで有名なX(旧ツイッター)経営者のイーロン・マスク氏も当選を喜んだ。
 また、ボルソナロ前大統領も、「希望が輝き始めた」と喜び、ルーラ氏は行かないであろうから、私が就任式に出席したい」とまで語った。
 ルーラ大統領は当選後、「民主主義では人々の声が尊重されるべき」との声明を出したが、そこにミレイ氏の名前はなかった。ミレイ氏は予てからルーラ氏を「汚職の泥棒」と呼んで批判していることから、パウロ・ピメンタ大統領府通信局長は「ミレイ氏が謝罪を行わない限り、ルーラ氏が就任式に行くことはないだろう」とも語っている。
 ミレイ氏は2021年に下院議員になるまでは経済アナリストとして知られた人物で、中銀廃止、ペソのドル化などの過激な主張に加え、省庁の大幅な削減、銃規制緩和、臓器売買合法化などを主張している。
 また、ルーラ氏嫌悪で伯国との貿易の減少や、メルコスルのEUとの自由貿易協定がどうなるかなどの懸念もある。
 ただ、同時に行われた連邦議会選ではマッサ氏の「愛国連合」が上下院共に第1党となった。ミレイ氏の自由前進はブルリッチ氏の「共に変化」の協力を得なくてはならないが、上院ではその2党を合わせても過半数を超えないなど、課題が残っている。


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