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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=122

2024年4月12日

「どうにか生きているわ」
「主人を亡くしてから、何とかいう宗教に凝り、教祖の鞄持ちでアマゾン河畔まで彷徨したって、本当かい?」
「勧められるまま入信してみたけど、それでも、私の心は救われなかった」
「インチキ宗教じゃないんか」
「そう極端なこと言わないでよ」
「だけどさ、短歌作っていた方が、まだ君らしかったぜ」
「どちらも私のうらぶれた心を救ってはくれなかったわ。でも、くしゃくしゃする時、仏壇に向かって合掌すると気持ちが安らぐわね。そこには主人も娘もいるから……」
「そういうもんかな」
「そうよ。女って、そういうものなのよ」
「やっぱり、それが女の...

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