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洪水対策で町移転の提言も=「同じ場所に再建は不可能」

2024年5月10日

ドローンで撮影したカノアス市のマティアス・ヴェーリョ地区(8日付BBC・ブラジル・サイトの記事の一部)
ドローンで撮影したカノアス市のマティアス・ヴェーリョ地区(8日付BBC・ブラジル・サイトの記事の一部)

 リオ・グランデ・ド・スル州で発生した甚大な自然災害に対する人間の無力感を示唆した研究者が、都市再建に際して根本的な対策変化が必要だと指摘した。洪水による被害が起こる可能性の高い地域から人々を撤退させ、都市再建をより安全な場所で行うことが必要だとも主張し、都市拡大が自然災害のリスクを増大させ、将来的な洪水や干ばつに対応するためにはより耐久性のあるインフラや新しい都市計画が必要だと警告したと8日付BBCブラジル(1)が報じた。
 2022年6月時点で、リオ・グランデ・ド・スル州ペロータス市議会では次の指摘がされていた。「雨の振り方が変わった。2013年の調査以降、月間降水量が300ミリメートル以上になっていることに気づいた。豪雨被害の可能性を予測するために、防災対策局はどのような計画を立てているのか。今までは洪水が到達しなかった地域でも、いずれ水害が発生するのを目にするようになるだろう」とリオ・グランデ連邦大学(FURG)の生態学教授マルセロ・ドゥトラ・ダ・シルヴァ氏は〝予言〟していた。
 当時、気候変動に関する議論の中で、シルヴァ教授は同州の多くの都市が異常降雨に対する備えを全くしていないという事実に注目した。どの地域が危険なのか、どの地域が洪水に弱いのか、誰が最初に洪水の影響を受けることになるのかも分かっていなかったのだ。
 今回のリオ・グランデ・ド・スル州豪雨被害に関して、同氏は「我々は気候変動を防ぐことはできない。しかし、それに対してより強くなることはできる。最も危険な地域から人々を遠ざけることだ。事前に最も脆弱な地域から住民を避難させるなどの取り組みが可能だっただろう」と見ている。
 2023年11月に同州山間部を襲った洪水のわずか半年後に、再び起きた今回の壊滅的な洪水に対して、この研究者は公的機関の考え方を根本的に変える必要があると主張している。
 「以前と同じ場所に同じように町を再建しても意味はない。それはもはや不可能と言っていい。都市インフラは低地、平坦地、湿潤地、丘陵地、川岸、谷間の町などリスクの高い環境から移動する必要がある」と述べ、どの地域が安全で、今後も続く極端な気候変動に強いかを考慮して新しく都市計画をする必要があると話す。
 今までの都市の新規拡張は主に、気候変動による洪水や地滑りなどのリスクに晒された危険地域で行われており、これは州の地理的特性や気候予測を無視していると警告する。特に河川や湖の岸辺、低地、湿地などが、新規の不動産開発や住宅地として人気があり、これらの地域の再建は重要だが、気候変動への適応計画も必要だという。
 洪水や地滑りの被害を受けた都市の再建は、従来の方法ではなく、より安全で持続可能な方法で行う必要があると指摘した。


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