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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=15

2024年8月3日

 運平は首を振った。
「便所はないよ。その辺の木陰でするのだそうだ。すぐ、放し飼いのブタが来て、片付けてくれるそうだ」
「……」
 シメはちょっと青い顔をした。
「又は朝暗いうちに用を済ませるらしい。日が昇るころにはブタの胃袋に納まって跡形もない」
「………!」
「どうしても馴れなかったらそのうちに便所を作りなさい。しかし、毎朝ブタに片付けさせた方が反ってキレイだ、と外人は言ってるがね」
「そのブタはどうするのだろうか?」
 一人言のようにシメが呟いた。
「あんな、昨夜、旨い旨いって此処の豚肉を食っていたじゃないか」
「……!」
 シメは一層青...

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