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ルーラ政権=食品インフレ抑制重要視=支持率のアキレス腱かも=異常気象とドル高のせいに

2025年1月25日

シドニオSECOM長官(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)
シドニオSECOM長官(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 ルーラ大統領は24日に閣僚会議を開き、食品価格のインフレ対策について話し合いを行った。ルーラ政権ではこの食品のインフレが支持率のアキレス腱と見なし、重要視している。同日付G1サイト(1)が報じている。
 ルーラ政権では引き続き、食品インフレを重要課題と見ている。連邦政府の見解によると、昨年の1月以降、食品インフレが起こると支持率に響くことを示すデータがあるためだ。同政権では昨年3月にも同様の会議を開いているが、効果がなかった。
 この議題に再び焦点が当たった背景には、年明け早々就任した大統領府社会通信局(SECOM)のシドニオ・パルメイラ長官が、「食品インフレとフェイクニュース対策こそが大きな課題だ」と発言し、注目されたことがある。それを受けて官房長官が「価格に介入(intervenção)する」と発言したことから、市場関係者から批判を浴びて発言を取り消す騒ぎとなった。連邦政府は「策を打つべき」と判断し、会議を持つに至った。
 同日の会議には、フェルナンド・ハダジ財相、ルイ・コスタ官房長官(共に労働者党・PT)、カルロス・ファヴァロ農相(社会民主党・PSD)、パウロ・テイシェイラ農業開発相(PT)が参加した。
 2024年の年間インフレ率は4・83%で、目標上限の4・50%を超えた。24年のインフレを押し上げた最大要因は食料・飲料で、12カ月で7・69パーセント上昇し、これが広範囲消費者物価指数(IPCA)を1・63%ポイント相当押し上げていた。
 24日の会議のメンバーは23日にも会議を行っているが、この会議では、24年に起きた干ばつや水害などの極端な気象現象が農業生産に大打撃を与えたことがインフレ要因とみなされた。そこに追い打ちをかけたのがドル高で、燃料などの輸入品目が値上がりする上、電気機器、食品など輸出を目的とした品目、国際投資に依存する品目でも値上げが起こるためだ。
 ルーラ大統領は現政権でインフレが悪化という国民の印象や、食品の値上がりを非常に気にしている。大統領は20日に行った閣僚会議でも、「労働者たちの食卓でインフレが実感されている。みんなで力を合わせてインフレを抑制しなければならない」と発言している。
 14日付本紙「《記者コラム》この1年で一気に悪化した経済=高金利、高インフレ、ドル高に=選挙前年に支出削減できるか」で指摘されたようなインフレの主因の一つは政府の積極支出だから、それを削減するとの政策には触れず、インフレの主因は極端な気象現象やドル高という見方で議論されたようだ。
 食品に限らず、このままインフレが収まらない間は、24日付本紙「ブラジル経済に成長鈍化の兆し=リセッション懸念高まる」にある通り、経済基本金利が下がらないため、それが企業活動の活力を失わせてリセッションに入る懸念が高まり、ルーラ政権の支持率にも影響がありそうだ。


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