フジアルテ本社から取締役らが来社=ブラジルで設立20周年を迎え交流促進

フジアルテ株式会社=大阪市所在=の大熊真二取締役(57歳、福岡県出身)と樋口和彦執行役員・採用本部本部長(53歳、大阪府出身)とフジアルテ・ド・ブラジル社=サンパウロ所在=の森山良二社長が19日、本紙編集部を訪れた。大熊氏と樋口氏は13日から20日まで来伯し、フジアルテのサンパウロ設立20周年を祝う懇親会に出席するとともに、日頃から協力を得ているブラジルの関係者に対し、日本の労働市場の現状や展望について説明を行った。
初のブラジル訪問となった大熊氏は、「日本で聞くネガティブな情報とは異なり、サンパウロには良い印象を持ちました」と述べ、「日本の労働者需要が高まる中で、新たな仕組みづくりを考えるためにもブラジルの関係者の意見を伺いました」と語った。
同社は、製造業の人材派遣に60年の歴史を持ち、日系ブラジル人を受け入れたパイオニア企業だ。2004年にフジアルテ・サンパウロが設置され、2011年に総合人材サービス業を展開するフジアルテ・ド・ブラジル社が設立された。現在、フジグループは日本国内に営業・採用拠点が33カ所、研修センターが7カ所、ブラジルの現地法人は41拠点を展開し、2024年度(12月26日時点)の稼働人数は1万157人の見通しで、そのうち約4700人が日系人だ。
日本国内では少子高齢化や人材不足が深刻化し、2030年には約644万人の労働力が不足し、製造業では38万人の人材不足が予測されている。こうした状況を受け、同社は今年、ブラジルから450~500人の人材採用を計画している。長期ビジョンでは2030年までに2万人のスタッフの稼働人数を目標としている。
近年、日系人の働き方に対する意識も多様化しており、日本での就労後にブラジルへ戻ることを希望する人も増えている。コロナ禍の影響で訪伯が延期され、今回が6年ぶり4回目の来伯となる樋口氏は、「これまでは日本での就労に焦点を当てていましたが、今後は日本でスキルを高めた人材がブラジルでも活躍できるような仕組みを構築していきたい」と、新たなビジョンを示した。
日系人は他の外国人労働者と比べて日本での就労制限が緩く、日本人と同等の働き方が可能であることから、これまでも重要な労働力として注目されてきた。フジグループはブランドメッセージ「人が輝く。未来が動く。」を掲げ、「日系人受け入れのパイオニアとして、今後も日伯の架け橋となり、その絆を未来へとつなげていく」ことで、さらなる発展を目指すという。