site.title

無農薬や水耕栽培、観光農園=モジ市ピンドラーマ農業視察=(3)=森林農業や自然保護、森林浴も

2025年2月22日

荒川農園のぶどう畑で記念撮影する一行
荒川農園のぶどう畑で記念撮影する一行

 山川農園から午後0時半にピンドラーマ日本人会に戻った一行は、同会館で昼食をご馳走になる。
 昼食を前に同日本人会の寺岡睦夫会長が改めてあいさつし、1947年に入植して今年で78年を迎える日本人会の歴史を説明。64年に電気が開通して、70年には農村電話が使用できるようになった後、85年には幹線道路にアスファルトが敷設されたほか、2010年には防犯対策の一環としてJICA(国際協力機構)の援助により「交番」が設置されたという。
 寺岡会長は「先人と会の皆さんの努力の積み重ねにより、現在の豊かな日本人会を築き上げることができました。今後も農業活動を中心に、次世代のためにも新しい活動と挑戦を続けていきたい」と思いを述べた。
 昼食後は会館横に隣接する体育館で、婦人の皆さんによる傘踊りなどが披露され、農業視察団一行も『上を向いて歩こう』などの曲に合わせて踊りの輪に参加した。

◎   ◎

千崎農園の醤油製造跡地
千崎農園の醤油製造跡地

 午後2時半から一行は、1950年代から醤油生産をしていた千崎(せんざき)農園を訪問した。案内してくれた千崎ジョナスさんによると、広島県出身の祖父・サダオさんが1950年頃に同地で養鶏を始め、同時期に日本からの機械を導入して「帝(みかど)」という名称の醤油作りも行い、65年まで製造販売していたという。
 現在、農園は修復作業中で、再生林の中でミョウガ、ハヤトウリ、タケノコ等の栽培も行われている。ジョナスさんの案内で農園内を巡ると、醤油生産を行っていた当時の建物と住居の一部が遺されていた。
 今後、サンパウロ大学関係者等による調査を経て、森林農業や農産品加工と併せて自然保護や森林浴などの「ウエルネス・ツーリズム」を目指していく考えだ。ジョナスさんは「祖父たちがこの場所で行ってきたことを広く知ってもらい、たくさんの方々に来ていただきたい」と、近い将来の構想を見据えていた。

◎   ◎

 午後4時、一行は最後の訪問地となる荒川農園に到着。同農園は元々、61年に同地に入植した荒川宏海(ひろみ)さん(81、福岡県出身)が、イタリアぶどうの改良・普及等に貢献した故・臼井晋(うすい・すすむ)氏から栽培法を学び、ぶどう栽培を中心に果物の生産活動を行っていた。15年ほど前から息子の裕一さん(55、2世)が引き継ぎ、2020年12月から完全予約制の観光農園として営業している。
 観光農園は土曜、日曜日の週末のみの開園で、一日40人に限定。園内ではイタリアぶどう、巨峰(きょほう)等のぶどう類をはじめ、イチゴ、ライチ、スモモのほか、ピタイヤ(ドラゴン・フルーツ)なども栽培され、来場客は生産物の試食・購入のほか、食堂での飲食なども楽しめる。
 裕一さんは「コロナの時期は本当に大変でしたが、今はたくさんの方々に来てもらえるようになったことに感謝しています」と語り、笑顔を見せていた。荒川農園の問い合わせは、電話11・99712・4147。
 視察団一行は同農園で、この日一日の総括を行い、午後5時45分に農園を後にした。(おわり、松本浩治記者)


フジアルテ本社から取締役らが来社=ブラジルで設立20周年を迎え交流促進前の記事 フジアルテ本社から取締役らが来社=ブラジルで設立20周年を迎え交流促進ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(113)次の記事ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(113)
Loading...