日本発の環境型農業=注目の「ヤマカワプログラム」(2)「土のスープ」で硬盤層問題を解決

かつて山川さんは、現代農業の土の状態を観察し、人間の都合で土と微生物を酷使している状態に危機感を覚えた。
作物や土に過度な農薬、科学肥料を使用し、重い農業機械を走らせながら過剰に土をかき混ぜる。微生物の住処である団粒構造が破壊されてしまうことで、土中の調和が崩れ、硬盤層(こうばんそう)という地層が出来てしまうとした。
硬盤層は固く、水を吸収しにくい。作物は地中深くまで根を張ることができず、上手く育たなくなってしまい、水捌けの悪化から、病気のまん延や、害虫の増殖にもつながる。
現代農法では硬盤層対策として機械を使用して土を起こすが、ヤマカワプログラムでは、そうした方法は短期的な解決方法で、原因の根本改善にならないという。
ヤマカワプログラムでは、硬盤層の土を水と30分煮込み、「土のスープ」を作る。一度冷ましてからそこに古代から微生物が生きる為に必要としてきた光合成細菌、乳酸菌酵母を加え、3000倍に希釈して畑に散布する。
この「土のスープ」は、微生物の活動に不可欠な基礎栄養を豊富に含み、活動活性化の引き金になる。微生物が再活性化すると、団粒構造が再構築され、硬盤層がスポンジのようなふわふわな土壌へと変化する。作物も深く根を張れるようになり、栄養状態が向上する。
栄養状態のいい作物は、病気にも強くなり、果物であれば甘味が、野菜であれば旨味がより多くなるという。
硬盤層がある土地はその排水性の低さから、地面に水が溜まり、害虫を繁殖させやすい。害虫被害は作物だけでなく、農作業者に対しても不快感による作業効率の低下や、感染症り患などの問題を引き起こす。ヤマカワプログラムを行えばその問題も解消されるという。
また、同プログラムを行った畑は土砂降りや干ばつへの耐性も強まるとした。(続く、淀貴彦記者)