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日本館に草の根無償7万ドル=展示館や通路の屋根修復費用に

2025年3月22日

署名を交わした石川会長と清水総領事
署名を交わした石川会長と清水総領事

 在サンパウロ日本国総領事館とブラジル日本文化福祉協会(石川レナト会長)が管理する日本館との間で、草の根文化無償資金協力に係る署名式を19日午前9時半から、サンパウロ市イビラプエラ公園内の日本館で行った。
 この建物は、桂離宮を模して設計され、柱や瓦はもちろん玉砂利にいたるまで日本から持ってきた〝純和風〟建築として世界的にも珍しい。桂離宮は、17世紀に京都市西京区桂に建てられた歴史ある皇室関連施設。
 サンパウロ市主催のサンパウロ400年祭の日本人協力委員会の会長に就任した山本喜誉司氏は日本建築学会会長の堀口捨己に日本館設計を依頼し、資材一切を日本から輸入することにし、竹中工務店に建築を依頼した。400年祭に間に合わせるために、1954年3月から4カ月間突貫工事で完成させた。
 署名式の当日、最初に日本館運営委員長の栗田クラウジオさんが「以前から展示館と通路部分の屋根に雨漏りなどが見られ、修繕する必要があった。今回、草の根資金7万ドルを頂くことができ、ようやく補修できることになった」と資金協力に感謝した。日本から持ってきた瓦屋根の茶室部分はそのまま。
 展示館等の屋根部分は元々、現地調達されたアスベストを含む材料で作られた波型スレートで葺かれており、当地でも法律で使用禁止になっていた。栗田さんは本紙取材に「中島工務店の監修のもと、現地の会社が改修工事を行う」と説明した。中島工務店(在岐阜県、中島紀于社長)は、日本館修復工事を長年ボランティアで請け負ってきた志の篤い工務店だ。

修復交換される波型スレート屋根の部分、左手前が通路、奥が展示館
修復交換される波型スレート屋根の部分、左手前が通路、奥が展示館

 石川レナト会長は「この日本館は、皇室がご来伯される際も、必ず立ち寄られるようなサンパウロにおける日本文化の象徴的な場所。130周年を祝う今年、このような協力をしていただき、ますます日本が近くに感じられる」と喜びの言葉を述べた。
 清水享在サンパウロ総領事は「日本では『屋根』にはシンボリックな意味が色々あり、それを直すということは重要な行為といえる」と前置きし、過去に要人に同行して何度も日本館を訪ねたことがあり、「私にとって、ここに来ることはブラジルに来たという証」という印象を持つ場所だと強調した。
 その後、石川会長と清水総領事が草の根文化無償資金協力に係る署名を交わした。

署名式に出席した文協役員ら
署名式に出席した文協役員ら

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