花祭りで平和と調和を祈願=「仏教の教えの実践は今こそ尊い」

ブラジル仏教連合会(仏連、梶原洋文マリオ会長)とリベルダーデ文化福祉協会(ACAL、藤田ヨシアキ・ダニロ会長)が主催する「第59回花祭り」法要が12日午前、サンパウロ市リベルダーデ広場で開催された。仏連傘下の各宗派代表が一堂に会して経典を唱えて釈迦生誕を祝い、お練り行列では釈迦像が載った白い象を引いて、お稚児様と共に東洋街を練り歩いた。
お釈迦様は花園で誕生、その時に飲むと不老不死になるという伝説の飲み物「甘露」が空から降ったとの逸話から、この行事では花御堂においたお釈迦様の仏像に甘茶をかけてお参りする。
来賓挨拶で、在サンパウロ総領事館の清水享総領事は「日本と同じやり方で地球の反対側のサンパウロ市でも、こうして釈迦牟尼生誕を祝うことは実に印象深い日伯の文化交流のシンボル、2カ国の絆の深さを示すものだと思う」と述べた。
ブラジル日本都道府県人会連合会の谷口ジョゼ会長は、「いつまでも若くありたい、永遠に生き続けたいと思っても実現しない。仏教の教えには、全ての物事は移り変わるのが本質だからだ。全ての物欲から解放されないといけない。富や物への執着はあの世では通用しない」と教えの一端を紐解いた。

さらに「因果応報の教えによれば、自分がしたことは後々自分に返ってくる。だから、自分が周りに良いことをすれば、良いことがいずれ自分に返ってくる。それこそ自分が幸せになる鍵であり、この仏教の教えを友人にでも、そうでない人にでもそれを実践することが、今の分断の世界においてとても重要で尊いことだと思う」との見方を力説した。
ブラジル日本文化福祉協会の西尾ロベルト副会長は「このセレモニーにより、このリベルダーデ・アフリカ日本広場はより神聖な場所になる。ブラジル社会は多民族によって構成され、調和の中で皆が過ごしている。様々な民族がこの広場でそれぞれの儀式を行うことで、より調和が深まり、国の構成が深まると思う。外国人にそんなこの広場を見てもらい、ブラジルという国を知ってもらいたい。ブラジル人の見かけは東洋系、黒人系、ヨーロッパ系といろいろだが全ての民族がここでは平和に暮らしている」と各国移民の姿に想いを馳せた。

午前11時から行われたお練り行列では、白象の山車とともにガルボン・ブエノ街を行進した。白象の山車は、お釈迦様の生母が、胎内に白象の入る夢を見た後に、お釈迦様を懐妊したという逸話から、お釈迦様誕生の象徴として扱われている。子供のお釈迦様を象徴する存在としてお稚児様と共に行列した。