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連邦政府=SUS患者受け入れ病院に税控除=新制度導入で待機列解消狙う

2025年6月26日

政府はSUS強化に向けた新制度を始動(Foto: Fernando Frazão/Agência Brasil)
政府はSUS強化に向けた新制度を始動(Foto: Fernando Frazão/Agência Brasil)

 連邦政府は24日、統一医療保健システム(SUS)の待機列解消を目的とし、私立および慈善病院が患者を受け入れる代わりに、提供実績に応じて租税債務を控除できる新制度を導入すると発表した。債務のない病院も税控除の形で参加可能で、年間予算枠は最大20億レ。2026年から本格運用され、医療体制全体の強化も図られる見通しだと同日付G1など(1)(2)(3)(4)が報じた。
 本措置は、5月に発表された連邦政府の新医療強化策「専門医が身近に(Agora tem Especialistas)」プログラムの一環として、保健省と財務省の省庁間共同省令により運用され、近日中に官報に掲載される見通しだ。
 新制度への参加は強制ではなく、自発的なもので、租税債務を有しない病院についても、年間7億5千万レを上限に、税額控除を通じて参加を認める。参加を希望する病院は、財務省と税債務に関する交渉を行った後、保健省に提供予定の医療サービス内容を申請する必要がある。保健省は、地域の医療需要との適合性と、病院の技術的・運営的能力の有無を審査する。参加病院には、通常地域で月額10万レ、医療機関が少ない地域では月額5万レ以上の医療サービス提供が求められる。
 控除の割合は債務規模により異なり、1千万レ超は最大30%、500万~11千万レは最大40%、500万レ未満は最大50%まで控除が可能。診療提供は25年8月から開始されるが、診療により発生したクレジットが租税債務の控除に使用できるのは26年1月以降とされている。
 アレシャンドレ・パジーリャ保健相は、制度導入の背景として、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって診療や手術の提供が滞り、SUSの待機列が膨らんだことを挙げ、私立および慈善病院の「診療や専門的手術は民間保険加入者や自費患者に限られているが、それらをSUSの患者にも届けるための仕組みを作る」と説明。また、「病院がより多くの手術、検査、専門診療を提供すれば、税額控除または債務減免という形で相応の補償がなされる」と述べた。
 フェルナンド・ハダジ財相によると、現在、3537の私立・慈善医療機関が合計341億レ相当の租税債務を抱えており、本制度を通じてその再建を後押しする狙いもあるという。同相は、「この制度は大学奨学金プログラム(Prouni)と債務再交渉支援策(デゼンローラ)を組み合わせたようなもので、歴史ある医療機関の健全化を図る複合的な政策だ」と説明。同制度による税額控除は「租税優遇」には該当せず、多くの病院が抱える債務が既に「回収困難資産」と見なされていることから、財政的な損失とは認められないとの見解も示された。
 「専門医が身近に」プログラムにはこの他にも、公立病院の診療時間拡大、移動型診療車両の導入、がんセンター新設、医師研修制度の拡充、患者の搬送支援など、複数の包括的施策が盛り込まれている。さらに、集団診療や遠隔診療の実施も見込まれており、年間最大460万件の診療と940万件の検査の実施を目指している。
 また、全国の待機時間を一元的に可視化・管理する統合パネルを設置する方針であり、参加機関にはそのためのデータ提供が義務づけられる。これにより、連邦・州・市レベルのみならず、私立・慈善医療機関における待機状況も可視化され、SUS全体の管理強化が図られる見込みだ。


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