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ルーラ大統領=メルコスル首脳会議で初のアルゼンチン訪問へ=議長国として地域統合強化へ

2025年7月10日

2024年11月、G20リオ・サミットで冷めた握手を交わしたブラジル・アルゼンチン両首脳(Foto: Ricardo Stuckert/PR)
2024年11月、G20リオ・サミットで冷めた握手を交わしたブラジル・アルゼンチン両首脳(Foto: Ricardo Stuckert/PR)

 ルーラ大統領は、7月2~3日に開催されるメルコスル首脳会議に出席するため、ミレイ大統領の就任後初めて、アルゼンチンを公式訪問する。ブラジルは7〜12月まで輪番制で議長国を務めることになっており、麻薬取締や組織犯罪対策の強化、貿易促進策の推進を柱として地域統合の強化を図る見込みだと6月29日付G1など(1)(2)(3)が報じた。
 今回の首脳会議は国際的な地政学的緊張が高まる中で行われ、メルコスルと欧州連合(EU)との経済連携協定の最終合意への期待も高まっている。6月末まで議長国を務めたアルゼンチンのミレイ大統領はメルコスルを軽視しており、他の加盟国首脳と公然たる対立を重ね、地域統合から距離を置く姿勢を鮮明にしているが、ルーラ大統領はメルコスルを外交政策の柱と位置づけ、その重要性を改めて打ち出している。
 議題の中心は、加盟国間の麻薬密売や組織犯罪に対する公共安全保障の協力強化だ。ブラジル外務省ラ米・カリブ海担当のジゼラ・パドヴァン大使は、加盟各国の情報交換や迅速な対応、共同行動の重要性を強調。具体例として、犯罪組織「第一首都コマンド(PCC)」の幹部マルコス・ロベルト・デ・アルメイダ容疑者がボリビアで逮捕された事案が挙げられ、国境地帯での連携強化が改めて求められている。
 経済面では、製糖業や自動車産業などの戦略的セクターの商業統合推進が課題だ。特に、自動車部門は現状、主にアルゼンチンとの二国間協定に依存しているが、地域全体を対象とした統合的な産業政策と協定の策定を目指す。メルコスル局長兼大使のフランシスコ・カンナブラヴァ氏は、メルコスル域内の全車両のうち、ブラジルとアルゼンチン両国の自動車産業で製造された車両は約4分の1に過ぎず、残りの多くは域外からの輸入車である現状を踏まえ、地域協定として体系化したいと説明。一方、製糖業では、ブラジルがメルコスル内生産の9割超を占める一方、アルゼンチンやパラグアイ、ボリビアは主に内需向けの少量生産にとどまる中、付加価値の高い製品群の域内流通促進により、加盟国間の貿易拡大と生産体制の尊重を図る方針だ。
 また、ブラジルは対外共通関税(TEC)の例外品目リスト(LETEC)の見直しを提案。これは特定製品にTECとは異なる税率を適用し、域内貿易促進や障壁削減、戦略部門強化を狙う制度だ。6月25日の加盟国会合では例外リストに50品目の追加が承認された。
 昨年7月加盟のボリビアの正式加盟手続き完了も重要課題だ。規定により、同国は4年間の移行期間中にメルコスル規範およびTECへの適合を進める必要がある。ブラジルは地域の安定と発展のため、同国の統合完了を支援している。
 環境問題では、加盟国の環境相が会合を開き、気候危機に対する共同対応を協議。首脳会議では低炭素農業推進と持続可能な農産品輸出拡大を目指す「メルコスル・グリーン」プログラム発表が予定されるほか、今秋の第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)に向け、地域の気候変動対策強化を示す共同声明の準備も進める予定だ。
 ブラジルは、多岐にわたる課題を通じ、地域経済の活性化と加盟国間の結束強化を図り、メルコスルの持続的発展に向けた新たな段階を築く構えだ。


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