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冷酷女子大生が連続殺人鬼に=姉と被害者娘が共謀し毒殺

2025年10月14日

万華鏡2
アナ・パウラ・ヴェローゾ・フェルナンデス容疑者(中央)と殺害された4人の被害者(13日付G1サイトの記事の一部)

「まさかの女子大生シリアルキラー」―。わずか5カ月の間に、サンパウロ州とリオ州で相次いで4件の連続殺人事件が発生した。被害者は不動産所有者や友人、高齢者、恋人であり、いずれも毒殺とみられている。捜査の結果、事件の背後には首謀者である冷徹な女子大学生と、その周囲の関係者による共謀があることが明らかになった。現在、関係者は拘束されており、警察が事件の全容解明を進めていると13日付G1など(1)(2)(3)が報じた。

警察によると、大学生アナ・パウラ・ヴェローゾ・フェルナンデス容疑者(35歳)は1〜5月にかけて4件の殺人を犯した。被害者は、彼女が家賃を支払っていた不動産の所有者マルセロ・アリ・フォンセカ氏(51歳)、出会い系アプリで知り合った友人マリア・アパレシーダ・ロドリゲス氏、大学の元同級生の父親ネイル・コレア・ダ・シルヴァ氏(65歳)、チュニジア出身の恋人アイダール・ムハレス氏(21歳)だ。

捜査当局は、アナ容疑者が自身の双子の姉ロベルタ・クリスティナ・ヴェローゾ・フェルナンデス容疑者(35歳)と、ネイル氏の娘ミシェレ・パイヴァ・ダ・シルヴァ容疑者(43歳)と共謀して、被害者を毒殺した疑いが強いとみている。容疑者3人はすでに拘束されており、殺害に用いられた毒物の特定に向けて法医学検査を進めている。

被害者の遺体はいずれも肺の浮腫など毒殺を示唆する特徴的な所見が認められている。3体の遺体が検死のために掘り返され、専門家は「シュンビーニョ(Chumbinho)」と呼ばれるネズミ駆除用の毒物が使用された可能性を指摘している。

「シュンビーニョ」はアルジカルブ(化学名:カルバメート系農薬アルジカルブ)を主成分として、殺鼠剤として違法に流通している高毒性農薬だ。犯罪や〝事故〟が多数起きたことを受け、国家衛生監督庁(ANVISA)は2022年11月、農薬アルジカルブの販売を禁止した。

最初の被害者とされるマルセロ氏の死亡は、1月31日にサンパウロ州グアルーリョス市で確認された。彼の遺体は自宅で著しく腐敗した状態で発見された。アナと姉ロベルタの両容疑者は同物件の裏手に居住し、彼女らが警察に通報していた。証拠不十分で5月に捜査は一旦終了。その後、姉妹の関与疑いが浮上し、捜査が再開された。

2人目の被害者であるマリア氏も、4月11日に同市で死亡している。アナ容疑者はSNSで知り合ったマリア氏に自宅でコーヒーとケーキを振る舞った直後、被害者は体調を崩し、死亡した。

4月26日、リオ州ドゥケ・デ・カシアス市で3人目の被害者であるネイル氏が死亡した。被害者は、アナ容疑者と同じ大学に通っていた共謀者ミシェレ容疑者の実父だ。両容疑者は同市の私立大学で法律を学んでいたが、アナ容疑は今年1月、サンパウロ州内の別の教育機関へ転校していた。

ネイル氏はアナ容疑者が持参したフェイジョアーダ(豆と肉の煮込み料理)を食べた後に体調が急変。捜査では、ミシェレ容疑者が4千レアル(約11万円)をアナ容疑者に支払い、父親の食事に毒を盛るよう依頼した疑いが持たれている。アナ容疑者は毒の効果を確かめるために10匹の犬を殺害したとの報告もある。

4人目の被害者は5月23日、チュニジア出身の恋人アイダール・ムハレス氏だ。事件当時、サンパウロ市内の自宅でアナ容疑者と過ごしていたアイダール氏は、突如体調を崩した。捜査によると、アナ容疑者がミルクシェイクに毒を盛り、被害者に提供した疑いが持たれている。関係者の証言では、アナ容疑者が妊娠を偽り、金銭を要求していたとの情報もある。

検察は、アナ容疑者が姉のロベルタ容疑者の協力を得て4件の殺害を実行し、被害者の財産や金銭を奪う目的があったとみている。アナ容疑者は4件の殺人罪で起訴されており、ロベルタ容疑者も起訴される見込みだ。共謀者のミシェレ容疑者については、父親殺害の容疑での起訴が検討されている。今後、事件は陪審裁判に付される見通しだ。


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