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ベネズエラ=マチャド氏にノーベル平和賞=トランプ大統領配慮との声も

2025年10月11日

万華鏡1
マリア・コリーナ・マチャド氏(Foto:RS @Fotos Publicas)

ノルウェーのノーベル委員会は10日、ベネズエラの野党指導者マリア・コリーナ・マチャド氏(58歳)に平和賞を授与すると発表した。彼女は「ベネズエラの鉄の女」との異名を持ち、チャベス主義の独裁者ニコラス・マドゥロ政権に対する反対の姿勢を強化してきた。ベネズエラ国民の民主的権利を守るために尽力し、独裁政権からの平和的な移行を目指した活動が高く評価されたと同日付オ・グローボ紙(1)が報じた。

マチャド氏は12年に「ベンテ・ベネズエラ」党を創立し、ベネズエラの強硬派野党の一翼を担っている。同氏は過去に国会議員を務め、前回の選挙結果に異議を唱えて以来、ベネズエラで潜伏生活を送っている。

彼女はマドゥロ政権反対の最前線に立つ指導者として、国内外で高く評価されている。彼女の政治活動は徹底した反独裁姿勢を貫いており、強いリーダーシップが多くの支持を集めてきた。

マチャド氏の政治活動は当初、主に上層階級や国外に住むベネズエラ人から支持されていた。だが、同氏のリーダーシップが強化されるにつれ、現在では国民全体の広範な支持を得ている。特に過酷な生活環境に直面している貧困層や労働者層の間での支持が顕著だ。

24年に行われた野党の予備選挙では、同氏は圧倒的な支持を集めていたため、15年間の立候補資格停止処分を受けた。そのため、同年7月の大統領選にはエドムンド・ゴンザレス・ウルティア氏が代わりに出馬した。マチャド氏は潜伏生活を続けながら、国民に向け、マドゥロ政権に反対の立場を示し、民衆を鼓舞し続けている。

ベネズエラ政府による迫害から逃れるため、現在もスペインに亡命中のゴンザレス氏は今回の受賞に、「これは、ベネズエラの民主主義と自由のために戦う全ての人々への非常に意味のある賞だ。マリア・コリーナは、たった一人で闘い続けてきたわけではなく、多くの人々が彼女を支え、共に闘ってきた。この受賞は、ベネズエラ国民にとっての勝利であり、我々全員が称賛すべきもの」とコメントした。

ノーベル委員会は、マチャド氏を「ベネズエラ国民のために民主的権利の促進に尽力し、独裁から民主への平和的な移行を達成しようとした卓越したリーダー」と評価。ノーベル委員会のヨルゲン・ワトネ・フリュドネス委員長は「マチャド氏は数十年にわたる圧政と闘い続け、未だにその立場を変えることなく、希望の光を見出し続けている」とその業績を称賛した。

一方、国連の人権専門家で、ブラジルの元人権大臣であるパウロ・セルジオ・ピニェイロ氏は、この平和賞受賞について少々「奇妙だ」とコメント。ピニェイロ氏は、ノーベル委員会がパレスチナでのジェノサイドを認めることができなかった背景に、米国の制裁を避ける意図があると指摘した上で、マチャド氏の受賞を「トランプ米大統領への小さな配慮」とも見なしている。

ピニェイロ氏は、マチャド氏が保守的な人物であることを強調し、同氏をボルソナロ前大統領の三男、エドゥアルド下議と比較した。

「彼女は『ベネズエラのエドゥアルド・ボルソナロ』のような存在でもある。というのも、ベネズエラに対する制裁を米国務省に求めることが多いためだ。彼女は確かに勇敢な役割を果たしており、ベネズエラでは隠れ家に住み、闘い続けている。だが、この選出は予想外だった。私は、委員会がベネズエラを取り上げるとは思わなかった」と述べた。(2)

G1別記事(3)でマチャド氏は、受賞発表後の初コメントとして、「この賞をベネズエラ国民の苦しみと、私たちの大義を断固として支持してくれたトランプ大統領に捧げます!」とSNSに書き込んだと報じた。

トランプ政権は受賞者に関する最初の声明でもマチャド氏を祝福せず、ノーベル委員会を批判した。「ノーベル委員会は、平和よりも政治を優先していることを自ら証明した」とホワイトハウスの広報局長スティーブン・チョン氏は述べた。米政府内では、トランプ氏こそがノーベル平和賞を受けるべきだという期待があり、本人も「世界の紛争を解決した」として自分が受賞に値すると発言していた。

ノーベル平和賞は1901年に創設されて以来、戦争の予防や平和の促進に貢献した個人や団体に授与されてきた。今年も例年通り、ノーベル平和賞の授与式は12月に行われる予定だが、彼女が出席できるかは不明。


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