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JHSP=水と暮らしの繋がりに迫る特別展=「めぐり―日本のくらしと水」

2025年10月23日

展示の一部
日本の灌漑設備を説明する展示の一部

日本文化に深く根ざした「水」の存在に光を当てるポ語展覧会「Fluxos - o Japão e a Água(めぐり―日本のくらしと水)」が、21日よりサンパウロ市のジャパン・ハウス(JHSP)で始まった。11月から始まる国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)を踏まえて、日本人が持つ自然や環境との関係を問い直す展示だ。会期は2026年2月1日まで。入場無料。

本展は、島国・日本において「水」が果たしてきた多面的な役割に注目。「運ぶ水」「健康を支える水」「神事における水」「静寂の水」の四つの視点から、生活・伝統・技術・精神性とのつながりを探る。

江戸時代の浮世絵、現代アート作品、かんがい施設の模型、水道の歴史資料など、幅広い展示が特徴。中でも注目は、世界最大級の洪水防止システム「首都圏外郭放水路」の紹介だ。東京都の地下に建設され、雨季や台風の時期に洪水が発生する前に許容量を超えた水を一時的に貯留し、地下の水をポンプで排出する。都市部の水害を未然に防ぐ重要な防災設備の一つ。

展示スペースの中央にあるのは、現代アーティストのトモコ・ソヴァージュ氏の作品「Buloklok」。世界最古の計時器とされているクレプシドラ(水時計)に着想を得た「生き物の呼吸を思わせる音」を発するインスタレーションだ。貝殻や巻貝を模した形の彫刻が大型水槽の中に沈められ、モーターの振動によって泡を発生させ、水中マイクが拾った泡の音がスピーカーを通して広がる。すべての生き物がそれぞれ異なる呼吸の速度や頻度、順序を持っているという儚さの流動性を表現するという。

手水や滝行、打ち水など、水を用いた日本の神事や習慣も紹介。水を神聖視する文化が育んだ儀式の数々から、日本人の自然観や精神性が読み取れる。展示に合わせ、講演やワークショップも実施予定。教育的な内容で、学校や日本語学校の課外授業などにも良さそう。

同館キュレーターのナターシャ氏(Natasha Barzaghi Geenen)は「COP30を前に、水資源管理の知見を共有し、気候変動への理解を深めるきっかけにしたい」と話す。会場はパウリスタ大通り52番地の2階。詳細は公式サイト(https://www.japanhousesp.com.br)まで。


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