中南米4カ国と合意発表=米国が関税の一部撤廃で
米政府は13日、アルゼンチン、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラとの間で、農産品や工業製品に対する関税の撤廃または引き下げに関する合意に達したと発表した。これにより、4カ国での米国製品への市場開放が進むと同時に、米国内でのコーヒーやバナナなどの輸入品の価格低下が期待される。各国はデジタルサービスへの課税を見送るとともに、知的財産の保護強化や貿易手続きの簡素化に合意したと同日付フォーリャ紙など(1)(2)(3)が報じた。
米政府によれば、これらの貿易協定は2週間以内に正式に締結される予定で、米国の農産品や工業製品の市場アクセスが大幅に拡大する見通しだ。コーヒーやバナナを含む一部の農産品に対する関税が撤廃または引き下げられる一方、大部分の品目についてはアルゼンチン、エルサルバドル、グアテマラには10%、エクアドルには15%の関税が引き続き適用される。だが、対象品目や削減幅は明示されていない。
これら4カ国は共通して、米大手テクノロジー企業が提供するデジタルサービスに対して課税しないことを約束。米国はこれにより、デジタル貿易の拡大とサービス業の競争力強化を図る。
アルゼンチンとの合意では、米国産の家畜や肉類、乳製品の市場開放が進む。米国産家畜の輸出市場が開放され、米国産鶏肉も最大1年以内にアルゼンチン市場にアクセスできるようになる。アルゼンチンは、特定のチーズや肉製品に対する名称制限を撤廃し、牛肉や豚肉の輸入手続きを簡素化。乳製品の登録義務を廃止することにも合意。これにより、アルゼンチンは牛肉輸出枠を2万トンから8万トンに拡大し、牛肉生産国としての地位を強化する。
米国側はアルゼンチンからの一部製品、特に天然資源や特許非保護医薬品の関税を撤廃することにより、貿易関係を深める方針だ。鉄鋼やアルミニウムなどの輸出品目についても、米国市場で有利な取引条件を得ることが確実となり、アルゼンチンの輸出産業は大きな利益を享受すると見込まれる。
アルゼンチンとの協定は米国の対中政策の一環として、経済的な安全保障を強化することも目的としている。
エクアドルとの間では米国製機械、車両、医療機器、農産物に対する関税削減または撤廃が合意された。エクアドルは、国内市場と競合しない米国製品に対する関税を撤廃し、二国間貿易における新たな貿易枠組みを整えるとともに、ライセンスや登録手続きの迅速化が図られることとなる。
両国は二国間委員会を設立し、共同で投資やイノベーションに関する協力を推進する。デジタル貿易の促進と、オンラインサービスに対する課税免除も含まれ、今後の経済関係において重要な役割を果たすことが期待される。
エルサルバドルとの合意では、米国製品に対する行政的な障壁を撤廃し、米国の認証や基準を受け入れるとともに、デジタルサービスに関する不公平な取り扱いや規制の制限が行われる。環境保護や強制労働禁止についての合意も強調。米国はエルサルバドル製繊維や製造品に対する関税を撤廃する。
グアテマラは、米国の輸出品に影響を与える非関税障壁を取り除き、自動車や医薬品、農産品に関する規制を緩和することに合意。知的財産保護や海賊行為の取り締まり強化、食品の原産地表示制限の回避に向けた協力が進められる。米国はこれに対応してグアテマラ製品、特に繊維や農産品に対する関税を撤廃する。
一方、ブラジルとの関係においては、両国間で貿易協定の進展に向けた交渉を続けており、特に米国製品に対する関税の引き下げが期待されている。米国は、ブラジル市場における自国製品の競争力強化を図り、農産品や工業製品の輸出拡大を目指している。
米政府は、これらの貿易協定が米国の農産品や工業製品の輸出拡大を推進し、特に米国民の生活費削減につながることを期待していると述べている。米国は今後も中南米諸国との貿易関係強化を目指し、これらの協定が地域経済にとどまらず、安全保障、サプライチェーン、デジタル経済といった分野にも重要な影響を与えるとされている。









