site.title

救済会総会=入所待機200人の解消に一歩=憩の園、日帰り介護の拠点始動へ=本田会長3期目、新時代へ

2026年3月19日

画像スライダー (2枚)

 高齢者福祉施設「憩の園」を運営する救済会(本田イズム会長)は14日午前、サンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会で第74回定期総会を開いた。会場には約50人の会員らが集い、活動報告に熱心に耳を傾けた。議案では2025年度の黒字決算と新年度予算案が拍手で承認され、役員改選では本田会長が3期目の大役を担うことが決まった。

 冒頭、日伯両国の国歌が会場に響き、この1年で世を去った笠原ハク、大原毅、岩本卓(たかし)ジェロニモ、清水潔オリジオ、渡部一誠、広田オタヴィオ6氏ら役員や協力者の遺徳をしのんで、全員で1分間の黙祷を捧げた。

 本田会長は「1953年の会登記、58年の園設立から歩みを続け、今回で74回目の総会。会の将来を左右する『未来計画(プロジェクト・ミライ)』を本格的に動かす大切な節目になる」と、決意を込めて語りかけた。

 活動報告に立った水島スザナ理事に続き、武藤ラウラ会計理事がマイクを握った。年間収支は約800万レアル余り、繰越し金は約23万レアル。63人の入所者の平均年齢は86歳で、最高齢は101歳。それを約110人の職員が支える手厚い体制で、支出の7割を人件費が占める一方、施設の改修にも40万レアルを投じた。入所費による収入は3割にとどまるが、年40回ものイベントでの定食販売や善意の寄付が活動を支えている。

 「サンパウロ州納税証明書(ノッタ・フィスカル・パウリスタ)や皆様の寄付のおかげで、無借金経営を貫けた」。武藤理事が晴れやかに報告すると、原長門監事による賛同の意見書が読み上げられ、会場は承認の拍手に包まれた。続いて提案された今年度の活動計画や黒字の予算案も異議なく採択された。

 本田会長は「赤字に直面するたび、不思議と大きな寄付に救われてきた。天国にいる創立者ドナ・マルガリーダ渡辺、吉安園子さんらが見守ってくれているようだ」と微笑み、新たな抱負を口にした。「JICAの支援で昨年10月に視察した日本の高齢者施設の経験を活かし、今年から未来計画を動かす。力行会から寄贈を受けた、メトロ駅近くの好立地の会館を拠点に、介護セミナーや日帰り介護(デイサービス)の実践を始めたい」

 背景にあるのは、200人を超える入所待機者の存在だ。長年、憩の園に寄付を続けてきた高齢者本人が入所できない現状に、家族から苦渋の訴えを受けたこともあるという。「胸が痛んだ。だが、我々が日帰り介護のノウハウを確立し、各地の日系団体が実践してくれれば、待機者の列は自ずと短くなる。高齢化が進むブラジル社会全体への貢献になるはずだ」。その言葉に力がこもる。

 早ければ5月にも、ニッケイパラセホテルの1フロアを借り、日帰り介護センターの試験運用をスタートさせる計画だ。この日は、創立者ドナ・マルガリーダが子供時代に家政婦として仕えたセレスチーノ医師の孫、ルイス・フェルナンド・デ・モラエス・ボウロウ氏も姿を見せ、日系社会と先人の絆を深く噛み締めていた。

 閉会に際し、吉岡黎明元会長は「この日帰り介護のノウハウを地方へ伝授すれば、各地の高齢者に喜んでもらえる。計画の意義は極めて大きい」と期待を寄せた。最古参の相田祐弘(やすひろ)副会長は「4時間に及ぶ総会は長い歴史でも新記録。これほど熱い議論ができるとは」と、活気に満ちた会場の余韻に目を細めていた。


街角ちょっと見=物品寄付や納税証明で協力を

トラック
寄付物品を集めるトラック

 憩の園の収入で大きいのは、物品寄付とサンパウロ州納税証明書(ノッタ・フィスカル・パウリスタ)だ。家財道具、家電、衣類、書籍などの寄付も受けつけ、連絡があれば回収トラックが出向く(ikoinosono.org.br/wordpress/quer-ajudar/doacoes-em-materiais/)。

 駐在員家族が本帰国する際に出る家具や家電も引き取る。引き取った品は憩の園で地元民に転売され、その収益が運営費に回される。引き取りを希望する人は連絡先(パウロ=doacoes@ikoinosono.org.br 11・2480・1122/WhatsApp11・98516・4829)まで。

 ノッタ・フィスカル・パウリスタはサンパウロ州財務局サイトにノッタの寄付先を登録することで、買い物をしてノッタを切るたびに自動的に寄付されるようになる。やり方はサイト(ikoinosono.org.br/wordpress/nf-paulista/cupom-com-cpf/)を参照。

 1942年6月、戦中に日本人を助けるために活動を開始し、来年はそれから85周年を迎える救済会。できる協力は、ぜひしたいところだ。



南マ州=松原・クルパイ入植70周年=コーヒー全滅、霜害に消えた夢(5)=松原安太郎の日伯子孫が涙の初対面前の記事 南マ州=松原・クルパイ入植70周年=コーヒー全滅、霜害に消えた夢(5)=松原安太郎の日伯子孫が涙の初対面
Loading...