グァタパラ移住地=入植60周年をお祝い=慰霊祭にシルヴァ大司教

グァタパラ農事文化体育協会(茂木常男会長)は9日、サンパウロ州グァタパラ市モンブカ墓地で同移住地開拓先亡者慰霊祭を行い、同移住地内中央公民館で入植60周年祭兼収穫祭を開催した。
慰霊祭はモンブカ墓地拓魂碑前で行われ、約120人が参加した。モアシール・シルヴァ大司教が慰霊碑の周りに聖水をまき、献花。聖書の言葉を引用しながら「多文化が交流するとき、全ての者が利する」などと日系社会がブラジルに与えた影響について話し、同墓地に眠る248人と8日に死去した安倍晋三元首相に追悼の祈りを捧げた。
慰霊祭の司会を務めた高木雅治さんは「60周年の節目に大司教に慰霊祭に参加してもらうことは夢の一つだった。キリスト教はブラジルの国教であり、大司教の慰霊祭参加は、私たちや先亡者たちの苦労が認められたように思える」と感動を語った。
慰霊祭後、入植60周年記念式典を同移住地内中央公民館で行った。会冒頭では、日伯両国歌並びにグァタパラ市歌を斉唱。その後、先亡者、安倍元首相、新型コロナウイルスの犠牲者に1分間の黙とうを捧げた。
式典挨拶に立った茂木会長は、グァタパラ移住地を築き上げた開拓先亡者へ感謝を述べ、「60周年記念行事を行えたのは、村民一同を始めとする皆さんの協力のお陰です」と来場者への感謝を語った。
来賓の川村怜子JICAブラジル事務所次長は、前日に起きた安倍晋三銃撃事件に対して多くの弔意と励ましの連絡が寄せられていると述べ、感謝の意を表した。また、日系移民による開拓の歴史を誇らしく思うと語り、コロナ禍により停滞していた日伯交流事業を再開させ、ブラジルと日系社会の発展に協力したいと語った。
ブラジル日本文化福祉協会の山下譲二評議員会長は、方丈記の一節「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず〜」を暗唱し、グァタパラ移住地内で住民の世代交代が進んでも、先人から受け継いだ文化が脈々と受け継がれていることを称賛した。
島袋栄喜サンパウロ日伯援護協会副会長は、同移住地で日本文化が継承されていることについての感動を述べた後、昨今の世界情勢から農業生産の重要性が高まると話し、「グァタパラの存在もまた重要になる」と語った。
記念祭会場では農産展や手芸品展が催され、日本食や農産物の販売会なども行われた。琉球國祭り太鼓や若手民謡グループ「民」などが演奏を披露し、来場者を楽しませた。
記念祭に遊びに来たグァタパラ移住地出身の非日系のルアン・マシャードくん(10歳)は「僕はこの村がすごく好きなんだ。日本人がする釣りとか、野球とかお祭りはどれも楽しい。僕はこの村で日本人たちと一生を過ごすんだ」と移住地に対する思い入れを語った。
シルレイ・オリヴェイラさん(60歳)は、脳血管障害の後遺症を患う母のマリア・ジョゼ・マルチンスさん(85歳)と共に農産・手芸品展を観覧。マルチンスさんは「踊りや手芸品を見るのが大好き」と大きな笑みを浮かべて話した。
婦人会の丘藤佐代子さん(73歳、神奈川県)は「コロナ禍で3年も活動を休止していたから記念祭への来場者も少ないと思っていたけど、大勢の人が来てくれて嬉しい」と喜びを語った。